暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
捕食者への革命
[3/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
索敵》スキルの高いプレイヤーが配置されており、常に周囲を警戒している。

「まーね。どこの誰が殺人をしようが、僕には関係ないしね。だけど──」

そこでレンは言葉を切り、辺りを見渡す。

次にレンが口にした言葉は風に紛れて、キリトの耳には届かなかった。

「《心意》が使われてるんだしね……」

「えっ?」

何のことだ?とキリトが言いかけた時──

「いたぞ!十時の方角!!!」

見張り役のプレイヤーの声が響きわたった。

その場に、緊張が走る。

レンとキリトはその方角に目を凝らす。

視認はできない。だが、確実にいる。

集団から少し離れた、巨大な古樹の幹の裏。

そこに、禍々しいオレンジ色のカーソルがあった。

気付かれたことを悟ったのか、ソレはぬるりと古木の裏から姿を現した。

それは異形の影だった。

ソレの全身は、黒ずんだ銀色の鏡面装甲に包まれていた。肩や胸、肘にボリュームのある、中世の騎士のような重量感。

巨大な籠手(こて)に包まれた右手には、自身の身長ほどもありそうな両刃の剣を携え、極端に先細りになった切っ先はだらりと地面に垂れている。

その剣よりも強く目を引くのが、騎士の頭部だった。

両側から後方へと長い角が伸びる、フード状のヘルメットを被っている。

しかし、本来であれば面頬のあるべきその箇所には───何もないのだ。

時刻はすでに深夜だが、周囲のキノコやらコケやらの発光のおかげで、視界には充分な明度(ガンマ)は保たれている。

だからその内部が照らし出されてもいいはずなのに、まるで実体を持つ闇がわだかまっているかの如く、フードの内部は黒一色に塗りつぶされている。

いや、よくよく目を凝らせば、その表面で生物のように蠢く漆黒の何かが確かに見える。

闇のマスクを持つ黒銀の騎士。

「あれが……《災禍の鎧》………」

誰かが放った、掠れたその声は固まっている討伐隊の中に響きわたった。

「ユルオオオオオ……!」

突如、奇怪な絶叫が迸った。

人間の声ではなかった。

獣でもない。

機械音でもない。

これまで一度たりとも聞いたことのない、異質な咆哮。

源は、騎士の顔にわだかまる暗闇だった。

仰け反ったフード型ヘルメットの下から、叫びとともに実体を持つ闇が噴出し、それはたちまちある形へと固定された。

フードの上下に並んで噛み合う、鋭利な三角の連なり。

牙だ。

漆黒の牙が、フードの縁から、まるでそこ全体が口であるかのように突き出している。

ぐぱっ。

湿った音を立てて、《口》が開いた。

内部の濃密な闇に、小さく真ん丸な二つの眼が、朧な紅に輝いた。

黒銀の
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ