第十五話
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ティアの代わりに、テンが答えてくれた。
「固まってることしかできない?」
「ええ。例えば、今右足を踏み出せば銃で撃たれて死ぬし、逆に右足で下がればさっきのアンタの時の二倍くらいの石が立て続けに振ってきて、全身潰れて死ぬ」
「………は?」
えっと……つまり、右足で前後に動いた場合死ぬ、ってことだよな?それがどうしてティアが動けないことに……いや、まさか。
「とまあそんな感じで、動きは封じてるわ。右足から動き出す場合も、左足から動き出す場合も。右手も左手も。跳ぶのも倒れるもの。黒い霧を出すのも使い魔を操るのも。ティアがこの状況で取れそうなありとあらゆる行動は、その後に死が待っている夢を見せたから」
俺は言葉を失ってしまう。今俺の隣にいる少女はここまで強かったのか、と。「ま、無条件に使えるわけじゃないんだけど」とか言っているが、それを抜きにしても異常なくらいの強さだ。何せ対象は、あのまま固まっていることしかできないんだから。
「さ、これで彼女の動きは封じたわ。私じゃ何をしても殺せないからあとはカミナが・・・」
「……ごめん、テン。それはできない」
「じゃあ、どうするのよ?」
テンに問われた俺は、ポケットからDフォンを取り出して。
「…………こうする」
ピロリロリーン!
できることならあんな表情じゃなくて笑顔にしたかったんだけど、今のティアを写真に収めた。
「……へ?」
「ああ、俺が行動したからもう大丈夫なのか。まあ何にしても、これでティアは俺の大切な物語だ」
俺ができる唯一の選択。それをティアに告げると、ティアの顔はみるみる赤くなって……そして。
「ふふっ、ふふふっ」
「あれ?」
「あはははははははは!カ、カミナ君。それは、面白いです!面白すぎて……ああ、もう!おなか痛いです!」
「え、えー……」
あ、あれ?これってそういう流れなの?そんな笑われるようなことはしてないはずなんだけど!?
「ケホケホ、ケホッ……ご、ごめんねカミナ君。さすがに耐えられなくって……」
そこまで笑えて仕方ないことしたかなぁ……と、そう考えた瞬間に、背中に何か押し付けられる。何か棒状の、筒みたいな感触。「何かな、これ」とか思ってると、ガシャンというまるで銃をコッキングしたような音が……
「ちょ、テンさん!?」
「鈴ちゃんの時はともかく、今のはねぇ……」
「いったい何のことでしょう!?」
思わず上ずった声が出てしまう。なんでこんな底冷えするような声を!?
「あ、カミナ君。これは私たちロアにとっての事なんですけど」
「なんだ、ティア……って、銃でゴリゴリするのやめてください!すっごく怖いので!!」
「『自分の物語になれ』って、プロポーズみたいなもの
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