序幕
[4/4]
[9]前 最初 [1]後書き
、置いてきちゃったのよ……」
「はぁ……?」
その状況が信じられず。
「GOAAAAAAAA!!!!」
狂乱するヴァイラスが危険である故に。
「仕方ねぇなぁ……使いたくなかったんだけどなぁ……」
真門は背負ってきた荷物をそこに下ろすと、右手の袖をまくり上げて――――
「アクセス、アカシック・レコード:第一階層――【月天】」
真門の腕に、電子回路の様な奇妙な光が走る。それを見た少女が、驚愕からだろうか、息をのむ。
「それは……!?」
「閲覧領域――――【戦闘神】
スラヴクラスタ:ベラルーシ
【スヴャトヴィット】カテゴリ――――《インストール》!!!」
そして――――光が、集まって行く。
何処からか溢れ出した光の羅列が、徐々に、徐々に、輝く大剣を形作っていく。デジタルデータの様にも見えるそのデザインの剣が完成した時。
「【豊作の神剣】、ダウンロード・オフ……よっしゃ、はじめようぜ」
真門の手にそれは握られ、同時に彼の髪は燃え盛るような赤へと変わった。
「GOAAAAAAAA!!!」
ドラグーン・ヴァイラスの地を震わせる咆哮。それを聞こえぬとばかりにばっさり無視し、真門はヴァイラスに近づいて行く。
そして不意に、前屈姿勢を取り――――大気が、爆発した。
その場にいた者が目を見張った時には既にその場に真門はいない。一瞬にして、影龍の目の前に出現していた。
「ぜりゃぁぁぁぁッ!!」
堂々たる気合と共に振り下ろされた大剣が、バターの如くドラグーン・ヴァイラスを切り裂いた。
「GUOOOOOOON……」
断末魔の悲鳴と共に、電子配列の様な光となって霧散するヴァイラス。
「……」
《神典学園》の少年少女がその光景を、唖然としながら見つめていた。彼らがあれほど手こずったドラグーン・ヴァイラスを、見覚えのない少年が一瞬で撃退してしまったのだから、驚くのも無理はない。
しかしその当事者はと言えば。
「うわっ、やべぇ、もうこんな時間だ! 試験に間に合わねぇ!」
あたふたと叫んでいた。光の剣を霧散させ、荷物を背負って駆け出しかけて――――
「わりぃ、あんたら、学校の場所おしえてくれ!」
「はぁ!?」
《神典学園》の生徒たちに向かって、そんなことを叫んだのである。
[9]前 最初 [1]後書き
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ