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サーガライザーの神統記
序幕
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、置いてきちゃったのよ……」
「はぁ……?」

 その状況が信じられず。

「GOAAAAAAAA!!!!」

 狂乱するヴァイラスが危険である故に。

「仕方ねぇなぁ……使いたくなかったんだけどなぁ……」

 真門は背負ってきた荷物をそこに下ろすと、右手の袖をまくり上げて――――

「アクセス、アカシック・レコード:第一階層(フロア・オブ・ファースト)――【月天(ムーンセル)】」

 真門の腕に、電子回路の様な奇妙な光が走る。それを見た少女が、驚愕からだろうか、息をのむ。

「それは……!?」
「閲覧領域――――【戦闘神】
          スラヴクラスタ:ベラルーシ
           【スヴャトヴィット】カテゴリ――――《インストール》!!!」

 そして――――光が、集まって行く。

 何処からか溢れ出した光の羅列が、徐々に、徐々に、輝く大剣を形作っていく。デジタルデータの様にも見えるそのデザインの剣が完成した時。

「【豊作の神剣】、ダウンロード・オフ……よっしゃ、はじめようぜ」

 真門の手にそれは握られ、同時に彼の髪は燃え盛るような赤へと変わった。

「GOAAAAAAAA!!!」

 ドラグーン・ヴァイラスの地を震わせる咆哮。それを聞こえぬとばかりにばっさり無視し、真門はヴァイラスに近づいて行く。

 そして不意に、前屈姿勢を取り――――大気が、爆発した。

 その場にいた者が目を見張った時には既にその場に真門はいない。一瞬にして、影龍の目の前に出現していた。

「ぜりゃぁぁぁぁッ!!」

 堂々たる気合と共に振り下ろされた大剣が、バターの如くドラグーン・ヴァイラスを切り裂いた。

「GUOOOOOOON……」

 断末魔の悲鳴と共に、電子配列の様な光となって霧散するヴァイラス。

「……」

 《神典学園》の少年少女がその光景を、唖然としながら見つめていた。彼らがあれほど手こずったドラグーン・ヴァイラスを、見覚えのない少年が一瞬で撃退してしまったのだから、驚くのも無理はない。

 しかしその当事者はと言えば。

「うわっ、やべぇ、もうこんな時間だ! 試験に間に合わねぇ!」

 あたふたと叫んでいた。光の剣を霧散させ、荷物を背負って駆け出しかけて――――

「わりぃ、あんたら、学校の場所おしえてくれ!」
「はぁ!?」

 《神典学園》の生徒たちに向かって、そんなことを叫んだのである。
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