序幕
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、たった一人で巨大な上位ヴァイラスを討滅せしめる。
何時しか《神統者》と《邪悪》の争いは、終わりが見えないほど激化し始め。
後に──《神界大戦》と呼ばれる時代が、訪れたのである。
***
今でも時折夢に見る。
黄金の炎に包まれて、世界が変わったその日のことを。
+++
「うぉっ……空がたっけぇなぁ、オイ」
見上げた空は晴れていた。都会の真っただ中なので、もっとどんよりくすんでいるのかと思いきや、思ったよりも綺麗な青色だ。
大気汚染を解決する技術が《アカシャ盤》から引き出されたのはそれほど最近の話ではないので、当然と言えば当然か、と考えながら、神裂真門は歩き出した。
舗装された道路に違和感がある。今まで真門が暮らしてきた場所は、どちらかと言えばあまり整備されている、とは言い難かったから。
けれどこの先暫くは、ガタガタの道路の往復に何時間も費やして、足腰を痛める、と言った事には気を配らなくてもよさそうだ。それはその通りのことを経験してきた真門にとっては嬉しくも少し寂しい事であった。
真門はこの街に住む姉から送られてきた、一枚のメモ用紙をズボンのポケットから取り出した。そこに描かれていたのは何らかの地図……の様なのだが、一見して何を指示しているのかはさっぱり理解できない。
「相変わらず汚ぇな、姉貴の字と絵は……っと、こっちか」
それでも真門はその意味を理解できた。迷いなく方向を転換する。
目的地は、《私立神典学園》だ。
世界中に発生した《アカシャ盤》の敵対者――――《ヴァイラス》を駆逐するために戦う存在、《神統者》の育成を行う学院。極東では最大手であり、中等部・高等部に分かれ、そして卒業後は附属の研究機関で研究生活もできると、至れり尽くせり。全寮制であるため、身寄りのない子供でも、能力さえあれば誰でも通える。
ただ……能力がなければ、入学さえ認められない。その点では、真門は自信を持っていた。
真門はこの春から、高等部に編入する運びとなっていた。編入の際には通常の受験生と同じく、筆記試験と実技試験を行う必要がある。
今日がその受験日だ。だから真門は、会場である学園本棟に向かっているのだ。
この街――――《架原》は、《神典学園》の為の学園都市。至る所が《神典学園》の生徒をサポートする為の物だ。故に目印さえ見つけてしまえば、方向音痴でなければ比較的簡単に学園に到着する。
するのだが――――
「……迷ったぞ」
見事にこの少年は迷ったのである。
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