遺跡編 来訪
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、恐らくこの名前の主こそがマキナの母親だろう。彼女は正確には被害者達の報復で命を落としたのだが……ある意味同じか。
「あの事件の後……生き残った人達は破壊の惨状を前にしながら復興を始めた。当時4歳だった私も、死んでいった多くの同胞を埋めるために墓穴を掘った」
「ここの墓場の分、全ての穴を掘ったのか、シャロン?」
俺の質問にシャロンは頷くが、当時4歳という事は相当な苦境だっただろう。そしてマキナや俺と同年代である彼女は続きを話す。
「埋葬を終えた頃、管理局という私達の知らない世界から訪れた組織から、闇の書というロストロギアによって事件が起きたと伝えられた」
「………」
「そのままなし崩しにこの世界が管理世界に取り込まれたけど、それ自体はどうでも良かった。いつだったか、闇の書の被害者の集いがどうのという人達が同意者を集めに来た事もあったけど、誰かを恨んだり憎んだりしても疲れるだけ……。私達はもう静かに暮らしていたかったから、彼らの誘いの手を跳ね除けた」
「へぇ、意外と芯が強いんだね、ここの人達は」
「ううん、そうじゃない。単にもう次元世界のゴタゴタと関わりたくなかったの。排他的と言ってしまえばそれまで……でもそれがどうしたというの? 未曾有の大惨事を受けた私達は確かに怒りも悲しみも抱いた。でもそれは時の彼方に流した。持ってても意味が無いから……静かに暮らせるならそれで良かったから」
『シャロン……私は……』
「あなたが責任を感じなくても良いの。あなた達一家はただ巻き込まれただけ……。マキナ……私の初めてで唯一の友達。11年の時を経た今、こうしてまた会えて私は嬉しいよ……」
『シャロン……!』
「だから……もう一度言うね。おかえりなさい、マキナ」
『ッ! ただいま……! ただいま……シャロン!!』
自分の声が出せない事に悔しさを感じながらも、マキナは昔の自分を知る友人のシャロンに抱きつき、シャロンも昔の友達が帰って来てくれた事を喜んでいた。ユーノは少し状況に置いていかれてるが、事情を知る俺やネロは故郷が優しくマキナを受け入れてくれた事に感謝した。
慰霊碑が優しい光を放つ光景の中、一度分かたれた二人はこうして再会を果たす事が出来たのだった……。
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