遺跡編 来訪
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側の崖にたどり着いた。元々半日かかるはずだった道のりを3分の1の時間で通れた辺り、この近道がどれだけショートカットの役目を果たしたのかがよくわかる。そして……、
「ここが……アクーナか」
結晶の崖を眼下に質素な暮らしを営んでいる小さな街、アクーナ。どちらかと言えば村に近い様相のこの街に着いて、ユーノは街の人への挨拶を行い、ネロは辺りをきょろきょろ見回し、マキナはなぜか街の方をじっと見ていた。この街の人間であるシャロンは入り口の階段を上る途中で、こちらの方……正確にはマキナの方を向いて、とある言葉を告げた。
「おかえりなさい……」
『ッ!?』
「ここはあなたが生を受けた地。全てが始まりと終わりが始まった場所。そう、ここが……」
11年前の闇の書事件、その渦中となった街。マキナの……ソレノイド家に安息と終焉が訪れた大地。つまりマキナはシャロンと同じ……アクーナの民だったという事だ。
『ここが……私の故郷。私の生まれた場所……』
「これは俺も驚いたな……まぁ生まれ故郷を早く見つけられて良かったじゃないか。ちょっと想像以上に早すぎた気もするが……」
「本当に戻ってきたのか……私は。かつての過ちの名残が色濃く残る場所に。先代主の幸せを奪ってしまった私が再び……」
「な、なんか僕の思った以上に偶然と事情がこんがらがってるね。でも11年前の事件の生き残りがこんなにいたなんて……不思議な気分だよ」
マキナとアクーナの関係性にそれぞれ感想を漏らす中、シャロンは次の句を告げてきた。
「……マキナ・ソレノイド。あなたに来て欲しい所がある」
『私に?』
マキナの疑問に無言で頷いた後、シャロンはその場所へ案内していく。ユーノ曰く泊まる場所も彼女が教えてくれる手筈だそうなので、流れで俺達もシャロンとマキナの後を追いかける。
そうしてたどり着いたのは、街を見渡せる高台。そこには多くの御影石が並び、同じ数の影を伸ばして物憂げな雰囲気が辺りに漂っていた。
「墓場か……」
「この墓石……全部綺麗に磨き上げられている……。あの子が毎日掃除しているのかな……?」
「でもなんでシャロンはここに?」
『…………』
無言でマキナは眉を顰め、ゆっくり歩いていくシャロンの後を追う。やがてシャロンは墓場の中央にある、結晶で周りを飾られた巨大な墓石の前で立ち止まり、それを見るよう促した。勧められるまま、マキナを囲むような姿勢で俺達も眺める。
『大破壊の犠牲者 慰霊碑』
その一文の後に、事件で命を落とした死者の名前が列挙されてあった。ずらっと並ぶ名前に目を通していくと、その中に“エックス・ソレノイド”……マキナの父親の名前があった。すぐ下にソレノイドの苗字が付いた女性の名前があった事から
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