遺跡編 来訪
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ンは崖の方に向かって一歩踏み出した。今はまだ地面の上だから堂々と歩き続けるが、このまま進めば崖下に真っ逆さまだ。そしてシャロンの足は崖の一歩手前までたどり着き、驚いた事に彼女はそのまま足を崖の先……何も無い空間へと足を踏み出したのだ。
「あ、危ないッ!!」
咄嗟にユーノが飛行魔法を展開して駆け付けようとしたが、落下の気配が微塵も起きないまま、シャロンは何事も無く体重を踏み出した足に傾け、また一歩足を進めた。意味の分からない現象を前にネロ達が呆然とする中、ゆっくり進んでいく彼女は既に何も無いはずの空間の上で両足を直立させていた。
「アクーナの民だけが知る、見えないけど確かに存在する道。太陽が出ている間だけ使えるこの道を通っていくの」
「フッ……視界ではわからない透明な橋か。管理局が把握してない所を考えると、どうやら魔力で作られたのではないようだ」
「こ、これは……道案内がいないと間違いなく足を踏み外すね……。でも飛行魔法も無しで空中に立っているのは不思議な感覚だよ」
闇の書の管制人格として永い時を生きてきたネロも、こんな物があった事は知らなかったらしく、新たな知識との遭遇を噛みしめていた。こういう知らない事を見つけられるから、世界は面白いのだ。
それにしてもこの道を見ていると太陽床を思い出す。……いや、青い太陽だから見えないだけで、性質自体はそっくり似ているのだろう。世紀末世界でも割と頻繁に用いてきたから、気分的にはすぐ慣れた。
身軽な足取りで進んでいくシャロンを見失わないよう、俺達は彼女と同じ道を走っていく。途中、シャロンは下からせり出している結晶を足場にして跳躍、別の太陽床に着地する。続いて俺達も跳躍していくが、ユーノとマキナは俺やネロ程身体能力が高くないから代わりに飛行魔法を介して追っていた。……あぁ、言い忘れてたがマキナは飛行魔法に適性があるぞ。これまで使わなかったのは、単に覚えていなかっただけだ。
「兄様……あのシャロンって子、意外とやれるみたいだね」
「らしいな。とりあえず迂闊に付いて来て遺跡探索で足手まといになる事態は気にしなくて済むようだ」
「だけどどうしてかな……あの子から少し寂しそうな雰囲気を感じる」
「寂しい? ……言われてみれば確かに孤独感が漂っている。呪いに縛られてた頃のネロを思い出すな」
「その例えを引き出されると私としては凄く気まずいのだが……しかし、あの子も何か抱えているのだろうか……」
そんな事を言われても、シャロンの事はまだ何も知らないからどう返せばいいのやら。しばらく共に行動すればわかるかもしれないが、今は何も答えられないな。
まるでクリスタル化した湖のような光景を横目に、俺達は特殊な道を飛び飛び進んでいき、大体2時間ぐらいかけて反対
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