短編85「母の手料理」
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母さんが私に作ってくれる、とっておきの手料理がある。
「美味しい!」
いったいどうやって作っているのだろう?母さんの手料理は、私にとって誕生日以上に、特別の時のお祝いとして作られていた。
「次に作るのは、あなたが結婚した時、そして赤ちゃんを産んだ時、そして……」
母さんは包帯を巻いた手を、大事そうになでていた。母はいつも手に包帯を巻いていた。そしていつもブラブラに巻いていた。ぶきっちょなのだ。
「ちゃんと計算しないと、足りなくなっちゃうわね!」
と、母さんは笑った。それに向かって父さんが茶化して言った。
「隠し味が絶品!!これが本当の『手』料理だな!いや『指』料理かあ〜!?」
それを聞いた母さんは言った。
「あと何回、作って上げられるかしら?」
そう言って、母さんは手の包帯をはずすと……
残りの指の本数を数えていたのだった。
おしまい
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