暁 〜小説投稿サイト〜
小学時代を思い出そう!
「相合傘」

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「雨降ってきたから、入っていきなよ!」

 と、公園からの帰り道に、友達のトモちゃんが傘を差しだしてくれた。

「えーいいよ!大丈夫だよ」

 と、僕は恥ずしかったので断った。だって「相合傘」になってしまうからだ!!誰かに見られたら絶対に冷やかされるに違いない!!
 でも、家から遠くの公園に遊びに行っていた時の事で、帰りに雨に降られてしまったのだ。一緒に遊んでいたトモの家は、途中まで方向が一緒だった。
トモは、出掛ける前に天気予報を見ていて傘を持ってきていた。(そいや他にも数人、傘を持って来ていたなあ)
 まあ、降ってきたら『濡れてきゃいいや!』と思っていた僕は、傘を持っていくのが面倒くさいのと、濡れる事は楽しい!とも思っていたので、雨の事は気にしていなかった。

「雨に濡れちゃうよ!入りなよ」

 と、としきりに誘うトモ。なので断るのも段々、面倒くさくなってきたし、雨が思ったより冷たかったし、誰も見ていなかったので……

「まあ、いっか」

 と、傘に入らしてもらう事にした。
 寄り添いながら、一つの傘に入って歩くのはドキドキした。

「もっと、寄らないと、肩が濡れちゃうよ」

 な〜んて言われた日には、顔から火が出るかと思った。トモとは保育園からの付き合いで、トモ自身は本当に、雨に濡れて風邪ひいたら大変と傘に入れてくれる、そういう女の子だった。

「じゃあ、ミズキ君。ここまでしか傘に入れてあげられなかったけど大丈夫?」

 と、トモが言った。公園から随分と歩いて来たが、あっと言う間の時間だった。すぐに返事を出来ずに、ボケッとしていると……

「大丈夫?風邪引いた?家まで送ろうか?」

 と、言われ僕は、首をブンブン振った。

「大丈夫、走って帰るよ!トモちゃん、ありがとう!!」

 と、僕は手を振り、雨の中を駆け出していったのだった。小学校2年生の頃の記憶だ。

おしまい

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