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ドリトル先生と二本尻尾の猫
第十幕その四

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「ようこそ、八条テーマパークに」
「待っていたよ」
「今日は思う存分楽しんでね」
「そうしていってね」
「先生も」
「あれっ、僕のことを知ってるのかな」
 マスコット達に言われてです、先生は目を瞬かせて応えました。
「そうなんだ」
「いやいや、先生有名人ですから」
「八条学園の中でも」
「ここは学園の関係者がいつも出入りしてますんで」
「高校生や大学生の子がアルバイトに来てるんですよ」
「動物園や植物園からヘルプの人も来ます」
 こうしたことをです、先生にお話するのです。
「その人達からお話を聞いてますから」
「先生のことは」
「だからですよ」
「僕達も先生のこと知ってるんです」
「そうなんですよ」
「そうなんだ、僕は有名人なんだ」
 このことも知った先生でした。
「意外というか」
「今日は楽しんでいって下さい」
「いつも一緒のその子達と一緒に」 
 動物の皆も見つつ言うのでした。
「是非共」
「楽しんで下さいね」
「それじゃあこちらも」
 お二人のことは内緒にしてです、先生はマスコットの皆に応えました。
「そうさせてもらうよ。ただ」
「ただ?」
「ただっていいますと」
「僕は普通のお客さんだから」
 このことを言うのでした。
「だからね」
「じゃあこうしてですか」
「特別扱いはですか」
「しないでくれと」
「そんなことをされたら困るよ」
 これまた先生らしいお言葉でした。
「普通にね、お願いするよ」
「わかりました、それじゃあ」
「普通にですね」
「先生と言わないで」
「その様に」
「そうしてね、他の皆にも伝えてね」
 テーマパークの従業員の人達にというのです。
「それに今は隠れたいから」
「あっ、何か事情がですか」
「おありで」
「だから頼むよ」
 こうマスコットの中の人達にお話してでした、先生は特別扱いは止めて欲しいとお願いしてなのでした。そのうえで。
 皆と一緒にです、お二人を探しました。するとです。
 すぐにです、ジップがお鼻をくんくんとさせてそのうえででした。ジャットコースターの方を見て先生に言いました。
「あっちだよ」
「あっ、ジェットコースターだね」
「うん、あっちからね」
「二人の匂いがするんだね」
「お静さんのものもね」
 ジェットコースターの方からというのです。
「するよ」
「それじゃあだね」
「あっちに行こう」
「うん、ただね」
 ここで、なのでした。先生は。
 少し暗いお顔になってです、こう言うのでした。
「僕はジェットコースターとかは」
「ああした場所はなんだ」
「あまりね」
 どうにもというのです。
「好きじゃないから」
「苦手なんだ」
「うん、だからね」 
 それで、というのです。
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