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魔法の世界 1−2
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っしゃいませ。どんな杖をお探しで?」

「俺に合う杖を...」


 店主のオリバンダーは、話の途中で姿を消す。視界に映らない場所に山積みにされた箱の中から、一つを選び出し持ち手を俺に向けて差し出した。
 芯にドラゴンの琴線。材木は白樺。杖の性格は冷やかな程に冷静。

 その杖を手にしてみると、店内の灯りが点滅を繰り返す。俺とは相性が悪いらしい。
 オリバンダーは「違うな」と、別の杖を差し出した。
 今度のは、不死鳥の羽の芯。材木は樫。杖の性格は頑固。

 手に取るまでもなく、これは違う。差し出された瞬間に、火花が飛び散った。またもや、オリバンダーは別の杖を差し出す。
 次はユニコーンの毛の芯。材木は檜。杖の性格は生真面目。

 おお? 全く違う手応え。......だが、これでもないな。


「ふむ...。実に難しい」

「見つかりそうか?」

「勿論。ピッタリの物を見つけてみせます」

「最後のユニコーンが芯になってるのは実にいい。ただ、何かが違う......いや、足りないのか...?」


 俺の意見に反応し、奥へと引っ込んだオリバンダーが持って来た物は、銀色の杖だった。所々に飾り細工が施してあり、影が差すと銀と黒が混ざり合って細工の部分が浮き上がって見える作りになっている。
 外見は気に入った。やや細めのシルエットがまたいい。だが、この美し過ぎる銀色は何だ...?


「芯にはユニコーンの毛。材木は桜。そしてユニコーンの血」

「ユニコーンの血!? おいおい...。なんでそんな物が仕込まれているんだ」

「まあ、物は試しだ。手に取ってみなさい。その杖(こ)の性格は、気まぐれ」


 オリバンダーから差し出された銀色の杖を握る。

 ああ。これだ。全身の毛が逆立ち、全身の血が体中を駆け巡り、決して嫌ではない強く優しい風が巻き起こった。


「......店主、これは誰から譲り受けた物だ?」


 俺の脳裏に、ある事が浮かんだ。それを確かめるべく、オリバンダーにこの杖の出処を尋ねる。
 オリバンダー本人も驚いた様子で、俺の手の中にある杖を見つめたまま硬直していた。「おい」と少し強めに呼び掛けると、肩をビクッと震わせて俺からの問いに答えた。


「この杖は、今から五十年程前に店に訪れた人物が置いて行った物なのです。それがどんな人物だったのか、男だったのか、女だったのかも覚えていません。まるで、その人物の記憶だけ抜け落ちてしまったかのように......」

「...そうか。よし、店主。これはいくらになる?」

「いえいえいえ...! このような代物を売るわけには...!!」

「じゃあ、この杖を俺に譲ってくれ。勿論、この杖の出処は絶対に言わない。なん
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