暁 〜小説投稿サイト〜
101番目の舶ィ語
番外編3。とある妹の内心
[3/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
せるような。
占いみたいな、そんな口調でした。

「もっとも、攫われて殺されなければだけど」

攫われて殺さる……どちらにしても体験したくない出来事ですが、きっとこれから私の身にそれは起こるのでしょう。

「殺される、というのは怖くて仕方ないですが」

殺されるという言葉と攫われるという言葉で四条先生が言っていた事件を思い出しました。
最近、若い女の子が攫われる事件が立て続けに起きていると。
攫われてしまった子は今だに帰ってきていないようです。
殺されたり、攫われたりされたくありません。
だけど、ここにいるのが私の尊敬する兄さんならこう言うでしょう。

『女の子を見捨てくらいなら攫われても構わないって』

そんな事を思っていると、目の前にいたヤシロさんはクスクス笑い、片手を上げました。

「じゃあ、お姉さん。生きてたら『また』ね? バイバイ」

手を振って別れを告げて消えてしまいました。









2010年6月2日。

「懐かしい夢を見ましたね……」

気がつけば私は自宅のリビングのソファーでうたた寝をしていました。
学校から帰った後、一通りの家事を済ませた私は兄さんの帰りを待っているうちにどうやらうたた寝をしてしまったようです。
私があっちの世界。
『ロア』の世界と関わるようになってからあまり時間は経っていませんが、それでもこの数ヶ月で多くの『ロア』や『主人公』達と戦ってきました。
大切な兄さんの生活を守る為に。
兄さんが安心して安全に表の世界を暮らしていけるように。
『ロア』とかと関わらないように、それとなく守ってきました。
兄さんには『ロア』の世界については知らせていません。
これからも私は兄さんを守っていきます。
今日から新しく私の姉となった『あの子』と共に。



だけど、最近。兄さんの様子がおかしいです。
今まで、女の子にしか興味がなかった兄さんが『民俗学』に興味を持ち、最近では何故か女の子からも『距離を空けています』。
女の子大好きな兄さんがまるで別人のようになってしまったんです。
そう。まるで妖精の神隠しに遭ったかのように。
監視や盗聴、公に出来ない方法で兄さんの様子を探っていましたが、兄さんはどうやら『ロアの世界』に来てしまったようです。
あ、盗聴とか、監視は私がしたわけではないですよ?
私の姉となった『女の子』がしてくれているんです。
何でも前にいたところでは、斥候や哨戒、破壊工作とか、監視とかが得意だったようで……『ハーフロア』となった今でも兄さんの様子を見つかりにくい場所から『監視』しているみたいです。
その子はとっても可愛らしい女の子でとっても強い子なんです。
あらゆる科学の兵器を使いこなせる万能の科学剣士
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ