暁 〜小説投稿サイト〜
101番目の舶ィ語
番外編1。とある休日の過ごし方
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無言になる一之江とキリカ。

「多分、ただの噂だと思うんだけど、うちの学校の生徒の親御さんとか、親戚の人とかがその噂と同じ目に遭ったって言う子が増えてるからちょっと調べてきてほしいんだよね」

「……ええっと、それは……」

「駄目? モンジくん?」

うるうるっとした目で見つめてくる詩穂先輩。
先輩にそんな顔をされたら断りにくいな。

「いいんじゃない、モンジ君?」

「ええ。ぱっぱと行って、サクサクと終わらせましょう」

躊躇う俺とは逆にやる気満々な都市伝説(お2人)さん。







「……俺、帰っていいか?」

「ダメだよ(です)!」

2対1。当然、俺の意見は却下されたわけで……。
ケーキバイキングを終えた俺達は先輩と別れてさっそく現場に向かうことになった。
月隠駅前に停車していた、一之江御用達の黒塗りのハイヤーに乗った俺達は、噂の現場に向かった。

「織原さん、とりあえず境山にあるトンネルまでお願いします」

「あいよ、瑞江ちゃんっ」

一之江と運転手さんは知り合いらしく、気さくな若い声が届いた。
助手席のところにある写真を見ると、まだ若い運転手さんみたいだ。
車内を見渡すと内装はかなり豪華だ。

「すごいなぁ……」

「わぁ、ふかふかだっー」

「織原さんのタクシーはそれなりの人しか乗れませんから」

一之江がさらりと告げた。
そんなタクシーの運転手さんと親しい一之江って……世の中って不公平だな。
俺がそんな事を考えているとキリカはふかふかなシートで飛び跳ねていた。
こら、やめんか。
スカートでそんな事するんじゃない。
めっ!
俺がヒスったらどうするんだ!

そんなこんなで現場のトンネルに辿り着くと、一之江とキリカは一度車を降りてトンネルの前で立ち止まった。
彼女らの後ろからトンネル内を見てみると。
トンネル内は薄暗く、灯は点いているが昔のいわゆる白熱灯でオレンジ色のライトがポツリ、ポツリと等間隔でトンネル内に設置されている。
車は通れるが一車線の道で、それが一直線に暗闇の先に続いていて、トンネルの壁はよく見ると煤けた煉瓦で作られている。
かなり年代物のトンネルだ。
そんな不気味なトンネルを前にしているのにも関わらず、一之江とキリカはいつもと変わらない様子でトンネルの暗闇を見つめていた。
トンネルの先を見つめている2人だが、2人とも片手にきちんとDフォンを持っていた。
そして、そのDフォンが赤く、まるで危険を知らせるように光っている。

「うん、やっぱり。思った通り……これ『ご当地ロア』だねっ!」

「ええ。トンネルで、境山という時点で『ご当地ロア』だと思いました」

「なんだよ、その『ご当地ロア』っ
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