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101番目の舶ィ語
番外編1。とある休日の過ごし方
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心配そうに顔を覗き込んでくる詩穂先輩。

「い、いえ。何もありません。
先輩を抱き上げたアレ以来、何も……あ……」

しまった。
余計な事を言っちまった。
そう思い______。
恐る恐る、先輩の顔を見ると。
先輩は顔を赤く染めて俯いてしまった。

「______??」

ヤべえ。何しちゃってんだ、俺は。

「あ、あーココのケーキ美味いですよ。
先輩も早く取ってきたらどうです?」

「う、うん。そうだね。ちょっと行ってくるねー」

顔を背けたまま、小走りでケーキの方に向かっていく先輩。
その後ろ姿を見て改めて思う。

______またやっちまった、と。




しばらくして、全員がケーキを皿に取って戻って来ると、女子達は山盛りのケーキを次々平らげていた。
見てるだけで胸焼けがしてくるぜ。
少食な印象がある一之江も次々ケーキをその小さな口にパクパク入れていた。
ケーキは別腹とかいうけど……男と女じゃ、明らかに体の作り違うな。
そんなに甘い物入らねえよ!

「ふぅー食べた、食べたー」

「美味しかったねー!」

「ええ。ケーキバイキングの女王である私を唸らせるとはやりますね!」

「それ、まだ続いてたのかよ!」

ボケる一之江に突っ込みつつ、久しぶりの休日を満喫していると、紅茶を飲んでいた先輩がカップをテーブルに置きながらソレを口にした。


「ところで、大事なお願いがあるんだけど聞いてくれる?」

「何をですか?」

「モンジくんとキリカちゃん、それとみずみずとかって都市伝説に詳しいって本当?」

「ええ。まあ……」

誰だ、先輩にそんな事を言ったのは?
キリカを見るとニマニマ笑っているし、一之江は『何も言ってませんよ?』的な顔をしながらケーキを小さく切ってから口に運んでいた。
どちらも言ってそうな顔だ。

「とっても怖い話を聞いちゃったの!
実は、夜霞市内にある境山のトンネルで怖い噂が流れてるの!」

「噂……?」

ピクッと一之江が反応した。
キリカの方を見ると、キリカの片手にDフォンが握られている。

「うん。出るんだって……」

「出るって……何が?」

「トンネル内を車で通っているとね、トンネルの出口で突然目の前に女の人が飛び出して来るみたいなの。
それでびっくりした人が慌てて車を止めると、そこには誰もいないの。
で、気になった人が車から降りて出口の先を見るとね、そこは崖になっていたんだって。
それで危なかったって思って車をバックさせるとね……耳元で突然、声が聞こえてきたんだって。
誰もいないはずなのに……」

「声?」

「そう……『死ねばよかったのに……』って」

「……」

「……」
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