番外編1。とある休日の過ごし方
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なんでもないようには見えなかったが、まあ、本人がなんでもないって言ってるんだ。
気にしない方がいいだろう。
俺はそう思い、自室がある二階へ上がった。
だからわからなかったんだ。
この時には、もう理亜はある決意をしていた事や……。
「……やっぱりメリーズドールのマスターは兄さんでしたか……」
リビングに残された理亜がそう呟いていた事にも……。
待ち合わせ場所の月隠駅の西口にある時計塔広場に着くと、そこには既に待ち人がいた。
猫を思わせるクリクリとした瞳。
やや洋風っぽい顔立ち。
赤くて長い髪を緑色のリボンで留めている美少女。
俺の親友でクラスメイトでもある仁藤キリカと。
まるで日本人形のように綺麗な黒髪。
透き通るような白い肌をした、いかにも『清楚』な雰囲気を持ったこれまた美少女。
隣町在住のミステリアスな転入生、一之江瑞江。
その2人が既に待ち合わせ場所の時計下にいた。
「悪い、遅くなった」
「大丈夫……今来たところだよ!」
「人を呼び出しておいて、遅刻とはいい度胸ですね!
まあ、今回は許しますが、次からは耳にところ天を流しこみますよ」
「怖えーよ!」
「詩穂先輩は遅れて来るって。
だから先にケーキバイキングに行っててって」
「なら行きましょう!
ほらさっさと行きますよ、ハゲ」
「ハゲてねえよ!」
一之江に弄られながら俺は彼女達の後を追ていった。
ケーキバイキングの店に着き、色とりどりの様々な種類のケーキを皿に取って先に戻ると、そこには遅れて来た先輩の姿があった。
「詩穂先輩、来たんですね」
「うん。こんにちわーモンジくーん!」
いつも通り、ニャパー☆、と笑う、詩穂先輩。
今日もオシャレな服を着て、頭にはトレードマークのこれまたオシャレな帽子を被っている。
夜坂学園の生徒会長、七里詩穂先輩。
夜坂学園では知らない人はいない学園のアイドルだ。
本来なら俺みたいな奴が近づけるような人ではないのだが、何故か一文字はこの先輩と仲がいい。
一之江の情報だと、一文字の憧れの人で、行きすぎた愛故にストーカー紛いな行動もしていたとか。
………何やってんだよ。一文字疾風。
そして、困った事に、俺。遠山金次もこの先輩に色々やらかしてしまっているのだ。
「あ、はい。こんにちは」
くっ、顔を合わせにくい。
ヒスっていたとはいえ、あんな事を人前でしでかしたからな。
笑顔で挨拶されてもマトモに顔を見れねえよ!
先輩の笑顔が眩し過ぎて思わず顔を背けてしまう。
「モンジくんと話すのは久しぶりだね!
最近、放課後見かけないけど何かあったの?」
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