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101番目の舶ィ語
第二十三話。夢の終わり
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う言って両手を広げて黒い巾着袋を手渡したのです。

『もっとも、消えなければだけど』

そんな言葉も言ってました。
その言葉を言った瞬間、すぐに消えてしまった事も覚えています。

「私の名前はヤシロだよ、お姉さん達」

「ヤシロちゃん……そういえばあの時、既に……」

『お姉さん達』と言っていたのを思い出しました。
私がこの場所で一晩明かし、それから噂されるまでにはタイムラグがあります。
だから、あの時の私はまだ『ただの音央』だったはずなのです。
それなのに、あの時から私『達』になる事に……気付いていた?

「ふふっ」

底がしれない子だなぁ、と思いながら。以前手渡された『お守り』を、開けてみるべきだと思いました。
袋の中を見てみると……中には疾風さんが持っていたDフォンと呼ばる携帯端末が入っていました。

「『8番目のセカイ』にようこそ。おめでとう、やっとお姉さん達の物語が始まるね?」

まるで、今までの『神隠し』は序章に過ぎなかったかのように言うヤシロさん。

「お姉さん達は2人で1人だから、Dフォンは一台しか渡せないけど。危険察知には『神隠しのラジオ』があるからいいよね」

「そういうものなんですね……」

感心するように呟いてしまった私に、ヤシロさんはその白くてほっそりした腕を伸ばしてきました。

「良ければ、新しいお名前を教えてくれる、お姉さん?」

ヤシロさんに名前を尋ねられた私は、思わず『音央』の方を見てしまいました。
目が合った彼女は何故か苦笑いをしながら頷きました。
……なんだか、双子の妹が突然出来た気分です。

「私の名前は……六実鳴央(むつみなお)。一応、音央ちゃんの双子の姉になる予定、です」

「へえ。音が鳴る、の双子ってことだね。よろしく、鳴央お姉さん」

ヤシロさんはそう言って手を差し伸べてきました。
これは……握手をしないといけないのでしょうか?
求められたのならしないわけにはいきません。
私はヤシロさんと固い握手を交わしました。

「具現化した『神隠し』達が今後、彼らと共にどんな物語を紡ぐのか______」

ヤシロさんは道路の方に視線を向けた。

「楽しみにしているね、お姉さん達」

私達もそちらに目を向けると。

「ごめんよ、待たせたかな?」

いつもより、鋭い視線をしている疾風さんの姿が見えて、クールな口調の声も聞こえてきました。
その声に注意を逸らされていたせいか、気づけばヤシロさんの姿はどこにもありません。
神出鬼没な女の子ですね、本当に。
私は視線を隣にいる音央ちゃんに向けると、彼女も視線を私に向けていました。
元々同一人物というだけあって気が合いますね、やっぱり。
お互いに頷きあった私達は_
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