黒い部屋
[2]次話
黒い部屋。
椅子も、机も、本も、本棚も、壁も、床も、全てが黒い。
世界を行き来する度に、部屋の色は白と黒を繰り返す。もう、何度目の黒だろうかも覚えていない。
「暇」
部屋の主、自分を《死神》と名乗る青年は静かに呟いた。
「あ...。そうだ、確か...この辺に〜......」
青年は、本棚を探り一冊の本を取り出す。背表紙も、表紙も黒で染まった少し厚めの本。
この本棚に納められている物は全て異なる世界の記録。頭では覚えていられない記憶を、本という形に変えて保存しているのである。
数日しかいなかった世界。数分しかいなかった世界。十年いた世界。百年いた世界。千年存在し続けた世界。
そのどれもが、本の形となって本棚に納められている。
青年が手にしたのは、ざっと二百年程前に立ち寄った世界の本。
青年が《死神》のルールを護らなかった世界。
「あー、そうだった。これは終息させないと...」
これは、青年の記憶と記録の物語。
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