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ドリトル先生と二本尻尾の猫
第九幕その十二

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「よくないわ」
「そう、バランスよく食べないとね」
「健康によくないからね」
「何かお静さんってそういうところ厳しい?」
「それはね、ずっとあの家にお仕えしてお料理も作っているから」
 だからだとです、お静さんは左の前足をしっかりと動かしつつ先生に答えました。それは家政婦めいたお話の仕方でした。
「だからね」
「そうしたこともだね」
「いつも頭の中に入れてるの」
 そうだというのです。
「バランスよく健康のいいものを食べてもらう様にって」
「出来た人だね」
「人ではないわよ」
 お静さんは先生の今のお言葉には笑って答えました。
「私はね」
「猫又だね」
「そう、猫よ」
 その猫のお姿での言葉です。
「だから出来た猫ね」
「この場合はね」
「もっと出来る猫になるわ」
「現状に満足せずに」
「あの家にずっとお仕えするから」
 それも代々のです。
「もっともっと出来る猫になるわ」
「頑張ってね、ただ」
「ただ?」
「それは尻尾がどれだけ増えてもかな」
「勿論よ、九本になってもね」
 その尻尾がです。猫の最高位の尻尾の数です。このことは狐さん達と一緒です。
「私はあの家の猫よ」
「ずっとだね」
「猫はお家について」 
 そしてというのです。
「それにね」
「人にもだね」
「つくものなのよ」
「お静さんもだね」
「勿論よ」
 お静さんはこうも言うのでした。
「私はあのお家の猫よ」
「永遠に」
「そうよ、百年も二百年もね」
 こうお話してでした、お静さんはどろんと消えました。これでお静さんとのお話を終えてからなのでした。先生はです。 
 動物の皆にです、こう言いました。
「日曜が楽しみだね」
「うん、いよいよだね」
「いよいよだね」
「デートだね」
 皆がここで言います。
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