第十三話 期待はずれの勧誘
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いけないようだな?」
苛立ちから、カツカツと音を鳴らしている。下っ端の死喰い人であればそれだけで寿命の縮む思いだろうが、生憎エメはそこまで気にしない。
エメが呑気に欠伸
あくび
でもしていると、一人の男がバタバタと駆け込んで来た。そのままヴォルデモートの前に平伏すとおどおどとしながら結果の報告をした。
「も、申し訳ありません! 賢者の石はにゅ、入手できませんでした」
「ふざけるな!! 襲撃に失敗しただと?」
「ひぃぃっ、し、失敗はしておりません! 襲撃は成功させました! 金庫から既に移された後だったのです」
「クソっ、読まれていたか。ダンブルドアめ、どこまでも忌々しい」
賢者の石さえ手に入れれば、目的の不老不死と失った力の回復の両方が出来るのだ。今回の失敗でまた勢力復活が遅くなった。ヴォルデモートはさっそく次の計画を考えなくてはならなくなった。
そんな時、エメがヴォルデモートに問いかけた。
「ヴォルデモート卿。貴方の口からお聞かせ願いたい。貴方の願いとは何だ?」
結局、エメ・アーロンが満足できるだけの答えをヴォルデモートは持ち合わせていなかった。
期待外れ。いってしまえばそんな所だろう。
エメは己の父母が命を懸けて仕えた男に全く魅力を感じなかった。上に立つ者が持つ、何かが足りないのだ。
気迫が無い。熱意が伝わらない。心が弱い。魂が希薄。カリスマ性に繋がらない。言い方は人それぞれだが、エメが求めていたのは利害を超えた魅力だった。
恐怖だけで人は従わない。多くの人が集う以上、ヴォルデモートには何らかの魅力が有るはずなのだ。いったい何があの男を魅せるのだろうか? どうして彼らはヴォルデモートに集うのか?
そんなことを考えながら一人でダイダゴン横丁を歩いているエメに向かって、正面からスネイプが駆けて来た。
「どこに行っていた、エメ・アーロン。余計なことはするなと言っておいた筈だが?」
「杖を買いに行ってました。何か問題でも?」
互いにピリピリとした空気を発している二人は険悪な雰囲気で互いを見つめ合う。両者揃って、自分が相手に敵意を見せている根元の感情がただの八つ当たりであることに気付いているので、それ以上は会話をしない。
やがてどちらからともなく小さく舌打ちをすると目を離す。
「……まあいい、帰るぞ」
来た道を通ってアーロン家へと帰宅する。
どうやらスネイプとエメは相容れることは出来なかったようだ。
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