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ハリー・ポッターと蛇の道を行く騎士
第十三話 期待はずれの勧誘
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しかしブチコロはそのどれにも首を振らず新しい杖を振らせ続ける。

「棗椰子
なつめやし
にキメラの骨、82センチ、闇の魔法の効果を高め、剣としても使える。天の邪鬼で感覚的」

 その杖を手にしたとき、エメの全身に衝撃が走った。持っただけで分かる。今まで振っていたどの杖も霞んでしまう程の力が溢れる。
 これを運命と言わずに何と言おうか。エメはニヤリと笑みを浮かべるとその杖を高らかに掲げ、空気を切り裂くようにヒュッと一気に振り下ろす。
 埃っぽかった店内に冷たい暴風が吹き荒れ、無秩序に散らばっている道具を、混沌として積み重なっている荷物を全て巻き上げ、整頓してひとまとめにしていく。

 僅かな狂いも無く、使い手が思い描いた通りの結果を出した杖は、自分の所有者と成るべき者に相性の良さと性能の高さを示す。
 エメが満足気に指先を見下ろすと、杖もまた呼応するように震え、獰猛な獣の如き唸り声を出す。

「ふーむふむ。どうやら決まったようですな。毎回のことながら、相変わらず変わったモノに好かれる一族ですな」

 大ざっぱとはいえ、店内が綺麗に片付いたことを大喜びするブチコロは、その気持ちを内心に隠して接客を続ける。
 かれこれもう数時間も経っているのだ。自分よりも下の者に対して気が短いことで有名なヴォルデモート卿を待たせ続けてしまい、いつ怒り出してしまうのかヒヤヒヤしている。
 かといって時間短縮の為に生半可な杖を選べば、確実に明日の朝刊の一面はブチコロの名前が飾られることになるだろう。主に10年振りのヴォルデモート卿に制裁された者として……。

「棗椰子
なつめやし
にキメラの骨、82センチ、を左で使います。それで……普段はこっちのニワトコに不死鳥の羽根、13センチを日常用として使って下さい」

 何故だか2本の杖をエメに持たせようとするブチコロ。

「2本? 棗椰子の杖だけじゃ駄目なのか?」

「あいあいあいあい、理由は2つあります。実はこの杖に使われている木なんですが…………聖樹認定を受けています。それを夜中に切り倒して裏ルートで流通していたのを入手しました。分かる人には分かるので、バレたら処刑されます」

 笑っちゃいますよね。と、笑えないことをいうブチコロ。さんざんエメの一族を変人扱いしておきながら、自身も相当な変人であったらしい。

「次に、キメラの骨も曰く付きです。こっちは博物館から奪って来たんですが、キメラの成獣を討伐出来たのは過去に一件だけなので、バレたら言い訳が効きません。後、依頼主は私ですが、盗みに行ったのは死喰い人の1人なので連鎖的にヴォルデモート卿と繋がっているのもバレます。…………後、82センチの杖を日常的に持ち歩き、振り回すのは非現実的です」

 2つと言っていながら、3つ言っ
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