第十一話 漏れ鍋
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あろうと、エメもまたそういうものに憧れを持つ年頃の男の子である。魔法使いに対して莫大な期待を抱いていたエメは現実を目の当たりにして、多大なショックを受けた。
そんなエメを余所にしてスネイプは別の人に声を掛けられていた。
「やぁスネイプ先生。先生がここにくるなんて珍しいじゃないか」
スネイプに話しかけたのは、長テーブルの奥から出てきたバーテンダーの老人だった。バーテンダーはボロボロの布でグラスを磨きながらスネイプと話をしている。
「我輩とてこのようなところには来たくなかったがな。あの人経由の依頼だ、断るわけにもいくまい」
スネイプ先生がそう言うと、バーテンダーはビクッと体を震わせ、恐る恐るエメの方を見た。
さっきまでうるさい程に騒いでいた店の客達も急に黙り込んで、店の中はまるで通夜のごとく静まり返った。
「……あ、あの人とは、例のあの人のことかい?」
「他に誰がいる?」
ウンザリした口調でスネイプが応じる。
「あ、あの人は死んだんじゃ……」
客の誰かが恐る恐るといった様子で呟く。
「都合の良い幻想は止めるべきだな。力の殆どを失い活動を控えているだけで、活動出来なくなった訳でも無いぞ? 1人2人の調子に乗った愚か者を粛清する程度であれば、今の残存勢力でも造作ないことだ」
「ほぉ、そんなあの人があんたに託したこの子はいったい誰なんだね?」
バーテンダーが興味深そうに尋ねる。
「10年前、あの人を庇って身代わりに死んだ“万能の魔女”の実子だよ。つまり、アーロン家の直系でもあるということだ」
エメの方に向き直ったバーテンダーが挨拶をする。
「初めまして、私はここでパブを営んでいるトムといいます」
「こちらこそ初めまして、トムさん。私の名はエメ・アーロンです。先程紹介に与りましたように、現アーロン家の当主をやっております」
エメが挨拶を返すと、ようやく安心したように、顔の皺を深くしながらも微笑んできた。
「……もういいかね。早く行くぞ」
「あっ、すみません。ではトムさん、失礼します」
トムに軽くお辞儀をしてその場を後にする。
いつの間にか店の奥へ移動しているスネイプのところへエメが向かうと、傍の扉を開きそのまま外へと出た。
扉を出た先には、三方をレンガの壁に囲まれた小さな空間があった。何しに来たのだろうとバケツにちりとり、箒ぐらいしかないその空間を見渡してエメが疑問に思っていると、スネイプは袖口から杖を取り出した。
「二度目は無いからよく見ていろ」
そう言うとスネイプは杖先でレンガの壁のブロックを何回か叩いた。するとレンガの一つ一つがどんどん回転しながら動いてゆき、壁が捲れる様に広がると、瞬く間に大きな
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