第十一話 漏れ鍋
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う雰囲気を滲み出しているので、黙ってついて行くエメ。
「着いたぞ。ここが入り口だ」
しばらく歩いていると、漏れ鍋というちっぽけな薄汚れたパブの前でスネイプは立ち止まった。
スネイプに連れてこられたお店は随分と年季が入っている。建物の隙間に入るように立っているせいもあってか、道を行き交う人たちもパブの隣にある本屋か、その反対側にあるレコード屋にしか目を移していなく、まるで“存在していない”かのようにパブには気付かない。
1人で来ていたら、きっと気づかないで見落としてしまっただろう。
しかし、一度気付いてしまったら、この店に対する人々の反応はいくらなんでも不自然すぎると感じられる。
遠目から見て目立つかと聞かれれば誰しもが首を横に振るだろう。左右の店に一度でも気を取られてしまえばこんな小さく薄汚いパブなんて目に入らないだろう。でも、近付いていけば無視するにはあまりにも異様な雰囲気を放っているパブだ。全員とはいわなくても、何人かは必ず気付くだろう。
不思議に思ったエメは、スネイプに質問した。
「周りの人たちが誰もこの店に目を向けないのですが何故でしょうか?」
「ふん、自分で考えることも出来んのか貴様は」
ムッとしたエメが自分の知識と周りの様子から推測し、考えられる可能性から予想を述べる。
「そうですね……何かしらの魔法が掛かっているのは確実でしょう。明らかに不自然な程、周りの人たちの視界に収まって無いようですから。例えば……そうですね、魔力を持つものにしか見えないとか?」
「半分正解、だが間違いだ。ここには認識阻害の魔法が掛けられている」
エメからしてみれば八つ当たりもいいとこなのだが、スネイプはある出来事をきっかけにエメの両親を敵対視しており、その影響が態度や意地の悪い言葉の節々から漏れ出ている。
ロンドンにあるパブ“漏れ鍋”は魔法界でも有名な所だと聞いていたのだが、その割に店内は薄暗くて外で見た通りのそんなに広くない場所だった。
しかし、それでも店の中は多くの人で満たされていて、賑やかに活気溢れている。年寄りが多いが、若い人もちらほらといる。
客達が吸っているパイプから出る煙やアルコール、かびの臭いなどが混ざり、異様な悪臭を漂わせてエメの鼻を刺激する。
思わず眉をしかめるエメを引き連れてスネイプはカウンターまで一直線に向かう。
さり気なく臭い除けの魔法を自分に使っており、エメと同じように眉をしかめてはいるものの、それは臭いの所為ではない。もちろん魔法を掛けているのは自分にだけであり、エメには掛けていない。
そのため、腐った臭いは場所の薄暗さや混雑具合と相俟って、掃き溜めの光景をエメに連想させた。
如何に天才で
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