暁 〜小説投稿サイト〜
魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Epico21繋がるセカイ〜Cross Dimension〜
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うとしたとき、「うぐっ!」男性の呻き声が上ったことで2人は動きを止めた。見れば、シュヴァリエルが男性にのど輪締めを掛け、軽々と持ち上げていた。
「あなた!」「お父さん!」
「ぁぐ・・・逃げ・・・」
「逃げたらどうなるか・・・解っているな・・・?」
脅迫だ。子供心に、仮初とは言え父親を盾にされているのに逃げる、などという選択肢はありえない。そして夫の危機に妻も迷いが生まれる。しかし子供を贄として差し出すわけにもいかない。少女はすぐに答えを出した。妻は同じ答えを出したが、躊躇があった。だから先に少女が動いた。
「お母さん、お願い!」
「っ!・・・・ごめんなさい!」
少女と女性が手を繋ぎ、「我、畏れ怯むことなかれ。我、弱くも退くことなかれ。立ち向かうことこそ、己の強き証明。・・・スフィー・ダンテ!」と、何らかの呪文を詠唱し、名を叫んだ。すると2人の繋いでいる手から強烈な光が溢れ、室内を真っ白に照らした。シュヴァリエルも「っ・・・!」その発光量に思わず両腕で目を庇った。
「・・・回収がしやすくなったな」
光が治まり、シュヴァリエルは自分と対峙する女性を見てそう呟いた。室内に立っているはシュヴァリエルと女性の2人のみ。少女の姿は無い。その代わり女性の手には一振りの西洋剣が握られていた。西洋剣全体が微かに発光し、まるで心臓の鼓動のように点滅を繰り返している。
「魔造兵装番外位:スフィー・ダンテを視認。・・・俺たちのリーダーは、神器であるお前たちをロストロギア扱いとし、ぜひともコレクションに加えたいと言っている」
「この子は物じゃないわ! 生きてる! 温かみもある、感情もある! 成長だってする! 普通の子よ!」
「武器化しているだろ。そしてあんたは今、その子を武器として扱おうとしている」
「それは・・・! この子を護るために――」
『お母さん、何を言っても無駄だよきっと! 倒しちゃえばいいんだよ!』
少女の声が西洋剣から発せられ、剣身に炎が噴き上がった。シュヴァリエルの言うように少女は武器と化していた。神器。それは遥かに遠き時代より存在している、特別な力を有した物品のことだ。神属が創り出した神造兵装。魔族が創り出した魔造兵装。そして人が特殊な技法で創り出した概念兵装。それらの総称が、“神器”、だ。少女はその内の1つ、魔造兵装の1つだったのだ。
『お父さんを、街のみんなを苦しめたあんた達を絶対に許さない! お母さん!』
「スフィー・・・」
「いいだろう。来るがいい」
シュヴァリエルは持ち上げていた男性を床に落とし、身構えた。女性は床に倒れ伏して咽る男性を一瞥。生きていることを確認して「スフィー、お願い!」と、シュヴァリエルへ向かって突撃した。そして燃え盛る剣――
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