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Epico21繋がるセカイ〜Cross Dimension〜
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その世界に広大な大地は無い。あるかも知れないが確認できない。眼下に広がるのは白い雲海。どこからどう見ようとも地平線の彼方まで雲海が広がっていて果てが見えず、しかも厚みが数十kmとある。さらには何かしらの“力”が働いているのか、侵入を試みても空間把握が困難となり、すぐに出て来てしまう。それゆえに不可侵の聖域と呼ばれるようになった。ならば、大地が無いのであればその世界に住まう生命はどこに居るのか、という話になる。

その答えは雲海の上を見ることで判明する。雲海のさらに上にはまた雲海がある。呼び名は上層雲海。黄金に輝く陽の光が雲の切れ間より降り注ぐことで光のカーテンを生み出し、幻想的な様を見せつけている。ちなみに眼下に広がるのは下層雲海と呼ばれる。
そして上層・下層の両雲海の狭間に存在している広大な空間、そこがこの世界に住まう生命の領域。その領域内には無数の浮島が点在していた。島の大きさも、浮いている高度も、その種類も多種多様。建物――ギリシア建築と呼ばれる建築様式の神殿のような――だけの島や、全高数百mから数千mの山だけの島、森だけの島、湖だけの島、石造りの家が立ち並ぶ街の島などだ。

さらに両雲海を貫き、支えているかのように黄金で出来た柱が乱立している。その柱の側面には老若男女問わずの人物の立像が彫刻されている。この世界や、関係する世界の者が見れば、それら像のモデルが数千年前までに起きていた戦争を終結に導いた大英雄や、それ以前から語り継がれる伝説級の人物の物であると判るだろう。

そして今現在、その世界のとある街の浮島にてトラブルが起きていた。武装した人間たちが、同じく武装している人間たちと戦闘を繰り広げているのだ。片や戦闘に慣れていて攻勢の手を緩めず、片や武装はしているものの戦闘は不慣れなのか防戦一方に追い詰められていた。

「や、やだぁー! 離してー! 離してよー!」

「うるせぇんだよ、ガキ! 大人しく変身しやがれ!」

ある家の中、8歳くらいの少女が自分の腕を掴んでいる男へと抵抗していた。床には少女の家族らしい男性と女性が倒れ伏し、鈍器にでも殴られたのか頭から血を流していた。

「おい、コイツらも連行だ」

「男の方は放っておいても良いんじゃね? 使い道なんてねぇしさ。でも女の方は連れてこうぜ。もし“ハズレ”でも別の使い道があるしよぉ」

20代ほどの男が下卑た笑みを浮かべ、倒れている女性の全身を舐めるように見た。もう片方の男が「俺、お前のそういうところ嫌いだわ〜」と非難するが、男は「へへ。男なら普通だろ」と軽く流す。

「お父さん、お母さん! やだ! 誰か助けて! 助けてーーー!」

少女が泣き叫ぶ。ここでとうとう「いい加減にしやがれ、化け物!」少女を連れ去ろうとしていた男が怒り、「きゃあ!?」少女を勢い
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