黒の訪れ、黄の訪れ
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つつくぐらいベリーレアな限定グッズが手に入ったの! だからあんなに浮かれ気分ではしゃいでいるのよ!」
「……ならなんでお前らはそんなに焦ってんだ」
「会長に気分に当てられちゃって!」
「そ、そうそう! 俺らも何だか妙にうれしくなっちゃってさ! ほーらほ−らってな!」
周りの生徒達は何故だか、「その気持ちよくわかる」などと言いたげな表情でうんうん頷いていたが、これは彼らが可笑しいからこそできる誤魔化し方であり、良くも悪くもこの世界ではある意味希少な『常識人』である瀧馬相手に、そういった方弁は逆効果である。
というか、そんな事なら別段隠さなくてもよいであろうに、なら何故口を物理的に塞いでまで続きを封じたのか? という在り来たりな疑問が生じる事に気が付いていない時点で、もはや彼らの目論見は失敗しているのだが……。
それでも場の状態を悪化させる方が良くないと踏んで、瀧馬は顔を引きつらせ苦笑いしながらも、一応相手に合わせることにした。
「はは、無類のツインテイルズ好きもここまで来るか。にしても喜びすぎだと思うがな」
「そ、そうだよなぁ! 会長ってばさ!」
「ア、 アハハ。そうよねえ、会長ってば!」
乾いた笑い声を一頻り上げ、ホッと溜息をつく総二と愛香。
もし誤魔化せていると思っているのなら、瀧馬が抱いている彼らへの残念度のメーターは、急速にメモリの数値を引き上げる事となる。
それに失策を取ってしまった以上、もう評価は覆らないのだが……そんな事は彼の個人的な事なので、気にすることは無いだろう。
……多分。
「まあアレだ。朝っぱらから騒ぐと頭に響く奴もいるって、会長と親しいならそう忠告しておいてくれ。じゃあ、教室でな」
「お、おう!」
瀧馬のセリフで周りからの総二達への―――というより総二への視線がするごくなった気がするが、俺には関係ないと背を向け振り向かず、瀧馬は小走りで校舎を目指すのだった。
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放課後。
家に帰っても宿題も無く料理の仕込みも無いので、結果特にやる事も無く教室でぼーっとしていた瀧馬だが、何時までもこうしている訳にはいかない事は分かっていたか、時計の針がちょうど三十分を指したあたりで立ち上がる。
本来ならそのまま帰路に就くところだが、後ろのメイド・桜川教員すらおいてけぼりにしそうな勢いと迫力で、一目散に部室棟へ向け駆け抜けていく会長の姿を目撃した。
そこで数瞬立ち止ったのが悪かったか、ラースからいかにも「悪巧みしています」と言わんばかりな含みのある声がかかった。
『後をつけちまおウゼ、相棒』
「何するのかもうわかってるのにか? 会長がツインテイルズに“テイル
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