第三章
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「強くて俊敏でな」
「ああした凄い体術を備えるのね」
「最強の姉ちゃんにmなってやるぜ」
「頑張ってね、姉さん」
こう笑顔で話してだ、そうしてだった。
虞姫はこの日も花姫を学校まで送り下校の時も迎えに来た。そうして家でも妹に何かあれば助けしょっちゅうプレゼントをしていた。まさに妹べったりであった。
そのある日だ、家で拳法の練習中にだ、妹に横から言われた。
「姉さん、明日からね」
「ああ、何だい?」
突きや蹴りの鍛錬に集中しつつだ、虞姫は妹に応えた。
「一体」
「修学旅行だから」
「そうかい?」
こう返すだけだった、練習に集中したまま。
「行くんだな」
「うん、だから明日の朝はね」
「ああ、明日の朝はか」
「朝早く起きて駅まで自分で行くから」
「そうかい」
汗を流し顔を正面、花姫から見て真右に向けたまま身体を動かし続けつつ応える。神経はそちらに殆ど向けられている。
「わかったよ」
「うん、だからね」
「また明日な」
「うん、姉さんが起きる前にはもう家に出てるから」
こう姉に言った、しかし。
虞姫は話を聞いていない、だが花姫は確かに言った。
虞姫は練習の後で豪快に食事をして風呂に入って寝た、そのうえで。
朝早く起きてランニングに出た、彼女の日常を過ごした。
そして汗を拭いて顔を洗って家のリビングに入ってだ、両親に対していぶかしむ顔で問うた。
「あれっ、花姫いねえな」
「もういったぞ」
「いったって何処にだよ」
「だから修学旅行にな」
「えっ、修学旅行にかよ」
「そう、言ったぞ」
父がこう言った。
「昨日あいつから聞いただろ」
「そいういえばそうだったか」
「拳法の練習中に聞いたんだな」
「ああ、そうだったな」
「相変わらず修行の時にはそっちに神経が集中するんだな」
虞姫の特徴である、長所であり短所でもある。
「それでか」
「言われたこと碌に聞いてなかったよ」
「そうか、とにかくな」
「花姫修学旅行に行ったんだな」
「ああ、そうだ」
その通りだとだ、父は自分よりもずっと逞しい娘に告げた。
「だからな」
「それでか」
「暫く花姫はいないからな」
「学校への送り迎えもか」
「他のこともな」
「することはないっていうんだな」
「ああ、そうだ」
その通りだというのだ。
「そのことは言っておくな」
「そうなんだな」
虞姫は朝食の場でそのことを知った、もっと言えば言われたことを思い出した。そのうえでだった。
花姫が修学旅行に行っている間一人だった、だが。
その間ずっとだ、虞姫は周りが見てもおかしかった。それで道場の弟子達もその彼女を見ていぶかしんだ。
「師範代どうしたんだ?」
「何か大人しいな」
「ああ、いつもに比べ
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