第五章
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「その周りに聞いてみたらどうだ?」
「おっさんが何時寝ているか、か」
「そのことをか」
「ああ、周りなら知ってるだろ」
ダ=ヴィンチの周囲即ち親しい者達ならというのだ。
「やっぱりな」
「それもそうだな」
「周りならおっさんのことを知ってるよな」
「何時寝ているかも」
「そのことも」
「だから聞いてみればいいだろ」
こう二人にアドバイスするのだった。
「周りにな」
「そうだな、それがいいな」
「あのおっさんが何時寝てるかな」
「何処となくな」
「色々とな」
二人も仲間の提案に頷いて言う。
「それか本人を見てな」
「人間なら絶対に寝る」
「寝ないと生きていられない」
「例え少しでもな」
このことは絶対だった、人間は寝ないと生きることは出来ない。このことはもう誰もがである。例えダ=ヴィンチが天才だとしても人間だからだ。
それでだ、二人はあらためてダ=ヴィンチの周りにただの街の人間として歩き回り情報を集めた。するとだ。
ある店の親父がだ、何処となくダ=ヴィンチの話を聞いた二人にこう言ったのだった。
「あの人は凄いんだよ」
「何でも出来るよな」
「何でも天才だよな」
「次から次にあらゆることしてな」
「どれも凄い出来てるな」
「まさに万能の天才なんだよ」
親父は言うのだった、二人に。
「出来ないことはないかもね」
「あれだけ色々してるとな」
「時間もないだろうな」
二人は何気なくを装って自分達の知りたい方に話をやった。
「それだけ色々とやってると」
「いや、それがね」
親父は二人の読み通りだ、二人に話した。そのことを。
「そうでもないんだよ」
「そうでもない?」
「っていうと?」
「あの人は寝ない人なんだよ」
これが、というのだ。
「それこそね」
「おいおい、寝ないで済むって」
「それはないだろ」
二人は盗賊であることを隠しながら親父に問い返した。
「人間ならな」
「絶対寝るだろ」
「そうしなくていいって何なんだよ」
「幾ら何でもな」
「それはないぜ」
「例えだよ、毎日四回位ほんのちょっと寝るだけでいいんだよ」
親父は驚く二人にダ=ヴィンチのその事情を話した。
「合わせて一時もないらしいね。椅子に座ってうとうとする位でいいらしいから」
「あの人の場合は」
「そうなのか」
「ああ、だからその分時間があるからな」
普通の人間と違って、というのだ。
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