第二章
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「だからな」
「今日はか」
「一応朝まで粘るけれどな」
それでもだとだ、彼は相棒に言う。
「朝日が見える頃になったら」
「諦めて帰るか」
「ああ、それしかない」
こう言ってだ、二人でダ=ヴィンチの家を見守るのだった。盗みに入る為に。
しかし結局だ、灯りは消えないままでだ。
ダ=ヴィンチは研究を続けていた。それで。
二人はこの日は諦めるしかなく去って自分達の家に戻って寝た。そのうえで仲間達にこう言うのだった。
「駄目だったぜ」
「盗めなかったぜ」
「?おっさんが寝てもか」
「家の中の誰かが起きてたのか?」
仲間達は彼の言葉を聞いて言った。
「そういえばあのおっさんやけに顔がいい男と一緒にいるな」
「まだ若い男とな」
「サライって仇名のな」
「弟子らしいな、あいつ」
「いや、そいつはどうもな」
そのサライはとだ、ブリオッティが話した。
「寝てたんだよ」
「けれどダ=ヴィンチのおっさんはか」
「起きてたのかよ」
「朝までずっと」
「起きてたのかよ」
「朝からずっとな」
今度はスフォルツォが話した。
「起きてたんだよ」
「徹夜でか」
「あのおっさん起きてたのか」
「ああ、本当にずっとな」
朝からだ、次の朝までというのだ。
「起きて研究やら何やらしてたよ。絵も描いてただろうな」
「急がないといけない仕事抱えてるのかね」
「あのおっさんお貴族様から色々仕事受けてるからな」
「それでそのうちの仕事でな」
「徹夜したのか?」
「そうかもな」
首を傾げさせてだ、また言ったスフォルツォだった。
「だから昨夜はね」
「盗めなかった」
「そうなんだな」
「ああ、けれどな」
ここで言ったのはブリオッティだった、彼が言うことはというと。
「またな」
「盗むんだな」
「そうするんだ」
「今夜こそはな」
目の光を鋭くさせてだ。ブリオッティは仲間達に約束した。
「盗んでみせるぜ」
「幾らおっさんでも二日徹夜はしないだろ」
スフォルツォも言う。
「だからな」
「そうだな、幾ら何でもな」
「二日続けて徹夜はな」
「ないな」
「流石に」
「二日も徹夜したらな」
それこそ、というのだ。
「身体がもやないからな」
「だよな、じゃあ今日はな」
「あのおっさんも寝るな」
「そしてな」
「盗めるな」
「ああ、今夜はな」
「いけるぜ」
ブリオッティだけでなくだ、スフォルツォも言うのだった。
「あのおっさんの家に忍び込む」
「おっさんが寝た時にな」
「そしてな」
「仕事してやるぜ」
二人は狙っていた、今夜こそはとだ。
そうしてその夜もダ=ヴィンチの家から少し離れたところで灯りが消えるのを待っていたがだ。それでもだった。
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