第三章
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「誰でもだよ」
「手を出すのかよ」
「それでか」
「あの教会にシスターがいれば」
「その時はか」
「そうさ、一晩じゃなくて俺が飽きるまでな」
下卑た笑顔は最早最悪の醜悪さを見せていた。
「相手をしてもらうぜ」
「それで痛い目に遭わなかったらいいがな」
「神のおられる教会やそこにいる人にまで害を及ばせてな」
「それで何もなかったらな」
「いいな」
同僚達はエジリアーノのあまりもの下劣さと卑劣さ、醜悪さにこの上ない嫌悪を見せて応えた。しかしそれを気にする彼ではなかった。
彼は餓鬼の様に教会と神父の周りを調べはじめた、するとだ。
夜に教会にある者達が出入りしているのを見た、それは。
「おいおい、あれは」
ナポリで大きな勢力を持つカモラの者達だった、その彼等がだ。
教会に出入りしていた、それを見てだ。
エジリアーノは瞬時に察した、それこそがだ。
「あの教会とカモラに付き合いがあるんだな」
それを察した、それでだ。
彼は昼に教会に行きだ、そして。
懺悔室にあえて入ってだ、向かい側にいる神父に問うた。
「神父さん、俺は実は懺悔に来たんじゃないんだよ」
「ではどうして来られたのですか?」
「面白いことを知ったんだよ」
それで、というのだ。
「来たんだよ」
「面白いこととは」
「この教会に時々夜に人来てるだろ」
こう言うのだった。
「そうだろ」
「それは」
「あれは誰なんだい?」
やはり下卑た笑顔で言うのだった。
「一体な」
「お答えしなくてはいけませんか」
「いや、それはいいさ」
神父に対してこう返した。
「別にさ。ただな」
「ただ、ですか」
「俺はこのことを公に出来るんだよ」
露骨な恫喝をかけるのだった。」
「実はさ」
「そうですか」
「だからな」
それで、というのだ。
「そうされたくないのならな」
「どうすればいいでしょうか」
「まあ明日のこの時間またここに来るぜ」
「その時にですか」
「話そうな、誰にも内緒でな」
「誰にもですか」
「ああ、そうしような」
こう言うのだった、この時エジリアーノは欲が前に出て相手が神父だけだと思っていた。彼の周りのことは見えていなかった。
迂闊と言えば迂闊だ、だがそれが彼の限界若しくは運の尽きだったのか。しかし彼は自覚してはいなかった。
そして自覚しないままだ、神父にまた言った。
「あんた孤児院大事だろ」
「そのこともですか」
「知ってるぜ、若しな」
自分の要求に応じなければ、というのだ。
「あんたが明日この時間にここに来ないとな」
「孤児院もですか」
「子供達一杯いるよな」
そしてその子供達がというのだ。
「どうなるんだろうな」
「では明日」
「この時間にな
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