最終話:帰るべき場所
[3/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
。彼は、これ以上はごまかせないだろうなと溜息を吐いて諦め、再び歩き出しながら口を開く。
「時間がない、先に進みながら話そう」
「さっきの姿と血を吐くことがどんな関係があるっていうんだい!」
「私達の一族に伝わる力……骸殻は使える限度が決まっている。使いすぎれば寿命を大きく削ることになる」
心配しているが故に怒鳴るようにヴィクトルを問い詰めるアルフに対し、内心では悪い事をしたと思ってはいるものの顔には一切出さずに無表情のまま淡々と質問に答えていくヴィクトル。そんな姿にアルフとフェイトは信用してもらえないのかとチクリと心を痛める。
クロノは任務の遂行の為には一刻も早くプレシアの元にたどり着かなくてはならないと思いながらも生来の優しさからヴィクトルに無茶をさせる事も出来ずに悶々とした心持ちのままヴィクトルに合わせて歩いていく。
「もしかして、あんたの顔も……」
「そうだ、限度を超えた骸殻の使用による副作用―――時歪の因子化だ」
ヴィクトルの顔にある傷の正体に気づいたアルフはどうしてもっと早く気づかなかったのかと自分の愚かさに歯噛みする。
「治療方法はないのか?」
「力には代償が付きまとう……逃れる方法は……ない」
「そんな……」
「だからあなたは、生まれ変わりを望んだのか……」
突き付けられた新たな残酷な現実にフェイトが言葉を失い、クロノは彼が生まれ変わりを望む様になった経緯を察してやるせない顔をする。彼の命はもう長くはない。その事は彼自身が一番よく分かっていた。
だからこそ、フェイトとの約束を何が何でも果たそうとやっきになっているのだ。……例えその命を捨て去ることになったとしても。それに、彼は自分以外にも残りの寿命が長くない者がいることを良く知っていた。今、足を止めるわけにはいかないのだ。
「今は私の事よりもプレシアが先だ。彼女もまた……病魔に身を犯されて長くはないのだから」
「母さん…も?」
「急ぐぞ、フェイト。まだ……間に合うはずだ」
衝撃を受けるフェイトにかけるその言葉はどこか自分に言い聞かせているようにも聞こえた。その後は無言になりながら彼等はとにかく前へと進み続けたのだった。
次元震の前触れとして時の庭園が大きく揺れる。あちこちで大地が穿たれ、そこから虚数空間が顔を覗かせる。そんな中、プレシアは様々な思いを込めてアリシアに視線を投げかけている。そこへプレシアの元に辿り着いたフェイト達が現れる。
「プレシア・テスタロッサ。時空管理法に基づき、逮捕する」
クロノが執務官として第一声を上げるがプレシアはクロノに一瞥もくれずに真っ直ぐにフェイトを見ていた。
「もうあなたは私の傍にいる必要はないと言った。どこ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ