暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは〜過ちを犯した男の物語〜
最終話:帰るべき場所
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 二人は固い約束を結び、振り返ることなく背を向けて飛び立つ。その姿に二人の成長の証が見て取れるようでヴィクトルとルドガーは優しげな笑みを浮かべながら、歩みを速めていく。子の成長というものは例え自分の子供でなくても嬉しいものなのだ。

 向かい来る傀儡兵をクロノ、フェイト、アルフと共に破壊して進んで行くが壊しても、壊しても、湧いてくる敵に埒があかないと判断したヴィクトルは一気に道を切り開くために骸殻を使う決意をする。黄金の懐中時計を両手で手に持ち構え、光と共にフル骸殻へと姿を変える。

「その姿は、あの時の!」
「ダメ…!」

 骸殻へと変身を遂げたヴィクトルにクロノが以前のことを思い出して苦い顔になり、フェイトは骸殻の真実の一端を知ってしまった為に叫び声を上げてヴィクトルを制止しようとするが彼は止まらなかった。時間は彼にもプレシアにもほとんど残されていないのだ。だからこそ、こんな所で手間取っているわけにはいかないのだ。

「知れ! 血に染まりし…完全なる…骸殻の…威力を!」

 ヴィクトルは無数の小型の槍を何もない空間から出現させて傀儡兵に撃ちだしていく。小型の物はそれに当るだけで砕けて消えていくが大型の物は装甲が分厚いために傷が入るものの崩れ落ちることなく、ヴィクトルに向かい突進してくる。だが、彼は一切焦ることなく巨大な槍を手に構え、まるで放たれた弾丸のように一直線に傀儡兵達に突進していく。

「マター・デストラクト!」

 放たれた弓のように彼は大型の傀儡兵を貫いて破壊し、なおも進んで行き直線状に居る敵を全て破壊しつくしてしまう。彼はそれを確認すると骸殻を解きプレシアの元に進みだそうとするが―――

「さあ、行くぞ―――がふっ、ごほっ!」

 突如として血を吐き出して、胸元を苦しそうに抑え始める。胸元からは黒い靄の様な物が噴き出してきており明らかに正常な状態でないことを知らせていた。そんなヴィクトルに驚いたアルフとクロノが駆け寄り、原因が何かを知っているフェイトは悲しみで顔を歪めながらゆっくりと彼の元に歩み寄る。

「あんた、いきなりどうしたんだい!?」
「敵の攻撃にでも当たったのか?」
「何…でもない。先に進むぞ」

 有無を言わせない口調で心配する二人を振り切り、立ち上がり進もうとするヴィクトルにフェイトが抱き着いて動きを止める。ただの子供に抱き着かれただけにも関わらずに彼はよろめき倒れそうになる。満身創痍の彼の姿にフェイトは涙を流しながら声を上げる。

「もう、その力は使わないで…! ヴィクトルさんが―――死んじゃうっ!」
「え……」
「どういうことだ、ヴィクトル?」

 フェイトの叫び声に信じられないといった顔でアルフは彼を見つめ、クロノもこれはどういったことかと真剣な目で見つめる
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