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カラミティ=ジェーン
5部分:第五章
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第五章

「助けるからね」
「何かな。イメージと違うな」
「そうだよな。カラミティ=ジェーンとはな」
「違うよな」
「無茶苦茶な暴れ者だって思ったけれどな」
「女だてらにな」
「そう言いたいんなら言うといいさ」
 それで構わないとだ。ジェーンは彼らに返す。
「あたしはあたしだよ」
「カラミティ=ジェーンだってのかい」
「そう言うんだな」
「そうさ。あたしはあたしのやりたいようにする」
 言いながらもだ。やはり手を止めない。彼女が一番動いている。
 そして動きながらだ。彼女は話すのだった。
「それだけさ」
「素っ気無いね、言葉は」
「それはね」
「話はいいさ」
 それはいいと言ってだ。ジェーンはだ。
 あらためてだ。彼等に告げた。
「毛布。替わりのね」
「ああ、それか」
「それ持って来いってか」
「水も持って来てくれるかい?」
 水もだというのだ。それもだ。
「それも持って来てくれるかい?」
「ああ、わかったよ」
「それじゃあな」
 こうしてだった。ジェーンは右にも左にも動く。
 そうして寝る間も惜しんで碌に動かずに看病してだった。天然痘の患者を救ったのだった。
 病が去った時、村には。
 死んだ者は殆んどいなかった。ジェーンが来てからは特にだ。
 それを見てだ。村人達も彼女以外に助けに来た男達もだ。驚いた顔で言うのだった。
「まさかなあ」
「カラミティ=ジェーンのお陰でな」
「ここまで人が助かるなんてな」
「思わなかったよな」
「全くだ」
 こう言うのだった。口々にだ。
「あんた、銃をぶっ放すだけじゃなかったんだな」
「こんなこともできたんだな」
「そうだったんだな」
「西部だよ、ここは」
 ここでもだ。その西部という場所を引き合いに出してだ。ジェーンは話すのだった。
「病気になってもね。自分で何とかしないとどうするんだよ」
「病気にもなりゃ毒蛇もいる」
「蜘蛛だっているしな」
 ブラックウィドースパイダーだ。黒く小さい蜘蛛でその毒でだ。多くの人間が死んでいる。西部は危険に満ちている世界なのだ。
 その西部にいてはだ。どうかというのである。
「それじゃあか」
「いざとなれば自分で何でもしないといけない」
「病気もだな」
「そうだよ。これ位であれこれ言うんじゃないよ」
 ジェーンはまたしても悪態をついてみせた。
「あたしが病気の看病ができたこともね」
「それはわかったけれどな」
「あんた人を助けることもするんだな」
「それもするんだな」
 話はだ。そのことに至った。彼女が人を助けたことについてだ。
 こう話してだ。ジェーンに尋ねるのだった。
「あんたでもな」
「人を助けたりするんだな」
「そうするんだな」
「気が向いたからね」

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