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リリなのinボクらの太陽サーガ
殲滅
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のなのはの事例も含めて考察するに、どうも魔導師が吸血変異するとリンカーコアの魔力を喰うために時間が取られるから、変異に時間がかかるようだ。その結果、身体が暗黒物質に馴染む途中で留まってしまうため、変異体になる確率が高くなってしまう。そして人間の変異体は、モンスターのそれよりもはるかに強力で、尚且つ厄介だ。
その理由を説明しようと思ったら、セルゲイだったアンデッドは傍に転がっているミハエルの死体に誘われるように近づいていくと、屈みこむなり貪るように喰らいつき始めた。肉を引き裂き、血の滴る音が部屋中に響き、俺達はそのおぞましい光景に寒気を感じた。

「マジかよ……魔法使いってのは、死体を食べるもんなのか? これじゃあまるでゾンビじゃねぇか」

「別に魔導師は食人種ではないんだが……ゾンビという所は正しい。今のセルゲイは最早人ではない、ありとあらゆるモノを本能のまま食らい尽くす存在へと成り果てている」

「アンデッドって奴か……参ったねぇ、こりゃ。話半分で聞いてたサバタの話が、全て事実だったとは……世界は思った以上に広いもんだな。ま、真相がどんなものであろうが―――――!!」

会話を区切ったサムは爆音を轟かせて飛び出し、セルゲイ・アンデッドに一気呵成に斬りかかる。

「さっさと倒しちまえば良いだろう………ん?」

手ごたえが無い事に違和感を抱いたサムが手元を見る。そこでは高周波を発するミハエルの刀が、同じく高周波ブレードである彼の刀を防いでいた。そして既に身体の半分以上を喰われていたミハエルの刀を振るったのは……セルゲイ・アンデッド。

元々セルゲイは高ランク魔導師ではあるが、サムの剣術を受け止められる程の実力は無いはずだった。しかし今、セルゲイはサムの刀を受け止めた。その理由こそ、人間の変異体がモンスターより厄介な原因である。

「人間の変異体は、喰らった対象の能力を奪える。死体だろうとモンスターだろうと関係ない、喰らえば喰らう程掛け算式に強くなっていく。そこが普通のアンデッドと違う最も面倒な性質なんだ」

世紀末世界のギルドではクリムゾン・モンスターの討伐依頼がよく舞い込むが、実の所クリムゾン・モンスターは変異体である事がほとんど。あまり知られていないが、変異体は案外近くにいるものなのだ。

―――疾ッ!!

「うぉっ!? こいつ、ミハエルの剣術を使いやがったぞ!」

「言っただろう、喰った相手の力を得ると。今のそいつはセルゲイの魔法と、ミハエルの剣術を身に付けた怪物だ。故にこれ以上余計な力を得られる前に……」

ゆっくりと俺が歩きながら語っている間にも、セルゲイ・アンデッドの変異が更に進んでいく。ミハエルの死体を完全に喰ったセルゲイ・アンデッドは雄叫びを上げ、刀に変質した魔力を纏わせ、腕に取り込んで同化
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