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リリなのinボクらの太陽サーガ
殲滅
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「なるほど……しかしあえて生かしておく、というのは駄目なのか? これ以上裏業界に関われば死ぬと自覚した連中はもう、この業界では生きていけなくなった。表の世界でやり直すしか選択肢は無くなった。それに裏の世界に戻ったとしても、恐怖は決して拭い去れない。結局は足を洗うしかないんだ」

「だが全員がそうであるとは限らん。そういう奴はさっき言ったように、どこかでまた新しい組織を立ち上げるかもしれない。そうなればまた食い物にされる連中が出る。その可能性を知っていながら、サバタは生かしておいた方が良いと?」

「いや、俺のは単なる選択肢の提示だ。俺はこの麻薬カルテルを潰したかっただけで、奴らの命までは実の所興味がない。捕縛した連中の生殺与奪権はサムに譲る、どうするかはおまえに任せるさ」

「気前が良いねぇ。ならそっちの件は俺が好きにさせてもらうが、その間おまえさんはどうする?」

「こいつらが溜め込んでいた麻薬を全て焼き払う。あと死体も火葬しておく。いくら敵だろうが、死者は弔ってやる必要があるからな」

「弔う、か。俺はそういうのは専門外だからなぁ……任せてもいいか」

肩をすくめるサムを見て、苦笑しながら俺は承諾した。そうして後始末の役割分担をした後、俺達は一旦この部屋を後にした。これで……ようやく終わる。ミッドチルダへの遠征から始まり、フェイト達の裁判の裏に潜り、アレクトロ社の開発したSEEDを探り、判明した事実から続いた戦いが終わる……、そのはずだった。

「グ……ゴゴ……、ま……だ……だ、俺には……アレが……あった…………ッ!」

だが“奴”は、まだ終わっていなかった。瀕死の状態で“奴”は震える手で取り出した注射器を自らの首に刺し、中身を注入する。次の瞬間、見るもおぞましい変異が始まった。

「ウ、ウゥゥゥゥッ……!!」

『ッ!?』

「グルルルルルルルッ!! ガァァアアアアア!!!!」

並の人間なら即死している深手を負いながらも、“奴”……セルゲイは立ち上がってきた。突然の異常事態に俺もサムも驚く中、奴の眼は赤く狂気の色に輝き、全身は血の通っていない青白さに染まり、どくどくと刀傷から血が流れる身体で動いている姿からゾッとする不気味さを醸し出していた。

「おいおい、さっき肺ごと斬ったはずだぞ? 即死しておかしくない状態なのに、なぜ動けるんだ?」

「これは……アンデッド化! しかもこの吸血変異の進行度合いから察するに……変異体になっている!」

どこで手に入れたのかは不明だが、十中八九あの注射器が原因だろう。これだけ近くにいて暗黒物質を感知できない程の密閉度に、内心舌を巻く。なお、注射器のデザインはどこかSEEDと酷似しているが、その性質は能力をコピーするアレとは全く異なっていた。

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