殲滅
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「ブラジルに来て数日。予想外に調査が手間取ったが、ようやくケリを付けられる……」
「いいねぇ。そんじゃ、溜まったツケを返すとしようかねぇ」
俺達は今、ブラジルのリオ・デ・ジャネイロ州のとある山の中に建っていた、麻薬組織の本元の巣窟である屋敷を市街地から遠目に眺めていた。地球でも犯罪者である彼らがどうして次元世界にも渡る程大々的に動けたのかという理由は、実はかなり単純だった。あの屋敷の所有者はブラジルの資産家であるが、その正体は他の次元世界出身の魔導師にしてSSランク級の次元犯罪者セルゲイ・ゴルドニアス。つまり一般人では認識できないように、麻薬の密輸や販売を奴が魔法で隠蔽していたのが真実だ。
そもそもアレクトロ社の一件以外では情報を外に出していない程、隙が無い所からセルゲイは油断ならない相手だと判断した。そこで俺達はしばらく事前調査を行い、小さい身体を利用して潜入したシュテル達の協力もあって、奴らの行動や裏事情などを調べ尽くした。
そして今夜……奴らは海外に一斉に麻薬を搬送するべく、あの屋敷に密売人や関係者が全員集合する。大取引の前だから警備や見回りもその分多いが、その代わり今夜の間のみ、奴らを一網打尽にする事が出来るのだ。
「手順を確認する。奴らの本拠地の攻略に関してはまず、地下水路を通ってサムが屋敷の内部に突入、片っ端から敵を片付ける。同時に俺は地上で屋敷の正面から突撃し、サムが突入するまで敵の目を引き付ける。なお、敵に逃亡する時間を与えないためにも今回は迅速な行動が要求されるため、隠密性は考慮しなくて構わない」
「面白ぇな、散々好き放題してきた奴らののどっぷしに、この俺がいきなり喰らい付くって作戦か。よ〜しよし、それじゃあ奴らの踊り狂うさまを楽しませてもらうとするか」
「今更だが敵の総数はかなりのものだ。俺もサムも、もし一人で向かっていたら奴らの逃亡を許していた可能性が高い。しかし……」
「その先はわざわざ説明しなくてもわかるぜ。どうせ逃がす暇なんてわざわざ作るつもりもないしな」
「フッ……違いない」
そうやって軽口を挟んでいると、いきなり後ろの方から嘲笑の声が聞こえてきた。
「そこで何をしている!?」
呆れたように首を振るサムとそちらへ身体を向ける。そこには馬鹿にするような笑みを浮かべる、麻薬カルテルの見回り兵が二人近づいて来ていた。
「なんだ、これは?」
一人は警棒でサムの刀を軽く叩き、もう一人は拳銃で俺の暗黒剣を突く。やれやれ、相手との実力差がわからないというのは実に滑稽だな。
「これか?」
ニヤッと笑ったサムは刀のトリガーを引き、弾丸の如く放たれた刀は見回りの男の顎を的確に打ち抜く。まるで漫画のように吹っ飛ばされた相方を唖然と見つめるもう一方の男は、我に返ると
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