第四十二話 新たな命
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『ヘンリーへ。
最後に会ったのは結婚式の時以来だね。マリアさんやデール王や太后様は元気かな?
私はすこぶる元気だよ。
機会があればみんなで集まってワイワイやりたいね。
国王補佐官の仕事は順調かな?無理してない?
私はまだ特に仕事とかしていないから、仕事について偉そうなこと言える訳じゃないけれどでも仕事は無理しすぎないでね。
アベルはあと少しで2児の父親になるからソワソワしているよ。ビアンカもお母さんになるべく頑張っている。
私は私なりに出来ることで2人を支えるつもり。
それではお互いお元気で。
ミレイより』
私は手紙を書き終えると、キメラの翼に括り付けてラインハットへと送った。
手紙が無事送られたのを見届けると、大きく伸びをする。
あの継承式の日から一年近く経ち、色んな変化が起こった。
私が15歳になった事やビアンカのお腹が相当大きくなって双子が生まれるまで後少しになった事。アベルがオジロンさんやゲバン大臣に政治について教わっている事。
私自身に変化は一つ歳をとったぐらいしかない。けどヘンリーへの手紙にも書いた通り自分なりに出来ることで2人を支えようとはしてるけどなんだろう……この感じ。なんだか自分が魔法の力だけの人間に思える。
『影響』とかそういう使命を忘れたわけじゃないし役目については常に自分に言い聞かせている。
でもそういうのとは関係なしに何かしたいんだ。もう私だって子供じゃないんだから。
「ミレイ殿!」
「マーリン。どうしたの?」
マーリンがいつになく慌てた様子でこっちに走ってきた。
「それがビアンカ殿が、ビアンカ殿が……!」
「ビアンカがどうしたの?ってまさか……生まれるの」
マーリンは大きく頷いた。
私はマーリンと一緒にビアンカのところまで向かった。
ビアンカは息を荒く吐いて苦しそうにしていた。
「はい、息を吸ってー吐いてー吸ってー吐いてー」
医師のメディ婆さんがビアンカに言った。
「ビアンカ、大丈夫!?しっかりして!?」
ビアンカは青ざめた顔でガクガクと頷いた。
「今1人頭が出てるわ!」
メディ婆さんが言った。
見ると、ビアンカの足の間から赤ちゃんの頭が出ていた。
「ビアンカ、落ち着いて!」
アベルが言ったが、どっちかというとアベルが落ち着くべきだと思う。まぁ私もあまり落ち着いていない訳だが。
「1人生まれました!」
ピエールが赤ちゃんを掲げながら叫んだ。
「やった。でも後1人いる!」
その後ビアンカはしばらく唸った後、もう1人を無事出産した。
「お疲れ、よく頑張った
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