第一章
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サロン
サロンと聞いてだ、ロンドン生まれで今もロンドンに住んでいて美大で教師をしているヘンリー=ポッターはお茶の時間にその名前を出してきた同僚のジョン=コーウェルにまずはこう返した。
「ヘアーサロンと言えばいいジョークになるかな」
「うん、君にしては上手いジョークだね」
コーウェルは緑の目を笑わせてポッターに返した。ポッターのその黒縁眼鏡が似合う細い顔と黒い目、それに整えた金髪を見つつ。尚コーウェルの髪はブラウンでやはり整えている。二人共中背でスーツを真面目に着ている。
「随分と」
「ははは、そうかい?」
「うん、けれど違うのはわかっているね」
「勿論さ、マレーシアの服だね」
「そう、あちらの民族衣装だよ」
コーウェルはこうポッターに話した。
「スカートでね」
「見たことはないけれどね」
「そうなんだ、あっちへ旅行に行ったことは」
「アジアには何回か行ったけれどね」
ポッターの趣味は旅行だ、それでアジアにも何度か行っているのだ。
過去日本や中国、ベトナムやタイに行った。しかしなのだ。
「けれどマレーシアはね」
「ではね」
「一回行ってみたらいいんだね」
「僕の勧めではね」
コーウェルはティーセットのシュークリームを手に取りつつ彼に話した。
「そうだよ」
「そうだね、確かにね」
「マレーシアもいいね」
「少し行ってみようかな」
「お金と時間はあるから」
この二つが旅行に必要なものだからだ、コーウェルはポッターに言ったのである。
「両方共」
「お金は旅行以外は読書とパソコンにしか使わないしね」
「テニスはラケットがあればいいしね」
ポッターの好きなスポーツである。尚コーウェルはマラソンが好きだ。
「お金は使わないね」
「だからあるよ」
「そうだね、君はギャンブルもしないし独り身だしね」
「奥さんは欲しいね」
ポッターは自分の独り身のことには笑って返した。
「けれどお金はあって今度の休暇の時にね」
「時間もあるね」
「だからね、行こうと思えばね」
「行ける、では答えは出たかな」
「よし、じゃあ行ってみるよ」
ポッターはチョコレートクッキーを食べつつ答えた。
「マレーシアにね、それでその時にね」
「サロンも見るんだね」
「他に見たいもの、あと食べたいものもあるけれど」
「マレーシア料理だね」
「その次だね、そのサロンを見るのは」
こうコーウェルに答えたのだった。
「マレーシアの景色を見て仕事に活かせるか」
「君が教えてるのは絵画だしね」
「そう、特に風景画だから」
尚コーウェルは建築芸術が専門である。
「マレーシアの風景をね」
「それを観に行くね」
「あそこも熱帯で海が奇麗だったね」
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