九話:フェイト・テスタロッサ
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ル!」
「ヴィクトル…さん……」
クロノに連れられて行った場所には沈み込んだフェイトとそれを何とか励まそうとしているアルフが居た。他にもなのはやユーノ、それにルドガーとリンディが陰鬱な表情をしながらもフェイトの傍に居た。ヴィクトルは二人の傍居る者達を無視してフェイトの目線に合わせるようにしゃがみ込む。
「……お母さんが私に攻撃したんだよね」
「……そうだ」
「私…また何か悪い事したのかな?」
「そんなことはない―――」
「じゃあ、どうしてお母さんは私とアルフに酷いことをするの!?」
ヴィクトルの言葉を遮ってフェイトが絶叫する。ただ、母親に認められたいから、ただ、母親に愛して欲しいからという理由で必死に頑張って来た少女にとっては余りにも酷過ぎる仕打ちにフェイトの心は壊れかけていた。幼い少女の悲鳴にその場にいる者達は全員悲痛な面持ちになり黙ってうつむくことしか出来ない。
そこに、プレシアが使った次元魔法をもとに、転送位置の割り出しをしたエイミィから、いつでも時の庭園に武装局員を送れると連絡が入る。リンディはすぐに思考を切り替えて時の庭園に向かうように武装局員に指示を出す。
するとすぐにモニターに武装局員がプレシアを取り囲んでいる様子が映り、同時にポットの中に浮いている見覚えのある金髪の少女が彼等の目に入った。
「なんで……私が?」
「フェイトちゃんが……二人?」
訳が分からずに呆然とモニターを見つめるフェイト達の元にプレシアの叫び声が聞こえてくる。
『私のアリシアに近寄らないで!』
痛々しい叫び声を上げながら武装局員達をまるで虫けらの様に電撃で打ち払っていくプレシア。彼女の鬼気迫る表情と圧倒的な強さに恐れをなし局員達は知らず知らずのうちに後退っていく。その様子にリンディは歯噛みしながら低い声でエイミィに職員達の送還を指示する。局員が消えるのを見届けるとプレシアはゆっくりとポットに入った少女の元に近づいていき憂いに満ちた声で呟く。
『そろそろ潮時ね。 十一個のジュエルシードでアルハザードにたどり着いてアリシアを生き返らせられるかどうかわからないけど……でも、もういいわ。終わりにする。アリシアを失ってからの何の希望も見出だせない時間も、アリシアの代わりの―――人形を娘扱いするのも』
「アリシア…? 人形…?」
続きの言葉など聞きたくないと首を横に降り続けるフェイトだったが非情な現実は彼女に逃げ場を与えない。
『聞いていて? あなたのことよ、フェイト。せっかく アリシアの記憶をあげたのにそっくりなのは見た目だけ役立たずでちっとも使えない私のお人形』
「う……そ、嘘…っ!」
告げられる残酷な真実に壊れかけの少女の心はさらに傷付き軋んでいく。プレシアは少女の
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