第2章 ヘンシェル星系攻防戦 中編 殺戮の嵐
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が彼の遺体に集まっている。
私はその中に入ろうと思ったがやめた。
もう尊敬する上官が死ぬのはケイン中将で十分すぎるほど見た。
歩いてLブロックに戻っている途中で、拭ってもぬぐっても流れ落ちる涙が零れ落ちた。その日の残り少ない夜は、防御塹壕線の奥で一人号泣してしまった。
また、その次の日にあのウィリアム1等兵が第33野戦病院で戦病死した。まだたったの16歳であった。最後の最後に意識を取り戻した彼はこのように言っていたという
「シュナイダーによろしく頼む。」と
友人である、ニコール・コリンズ3等衛生兵長が教えてくれた。
「彼は、私の手を握ってシュナイダーに頼むって繰り返していたわ。
医薬品もない、麻酔薬もない何にもない絶望的な野戦病院でね。」
と涙ながらに語るニコール兵長。彼女は数少ない私の女友達で1歳年上の17歳であった。いつもは、おしゃべりでニコニコしているかわいらしい少女であったがここまで暗い顔をしているのは、初めて見た。
「僕だっていやという人の死を見てきた。いやというほどね。
戦友もいたし、尊敬できる上官もいた。そして、敵もいた。
僕の最も尊敬する上官だった、ケイン准…いや、中将は僕たちに死ぬな、といったし、僕の家族の無念を思うとだからこそ僕たちは死ぬわけにもいかないし、こんな面白くないところで死にたくない。」
と独り言のように話した。
「そうね、みんな同じってことかしらね。
私たちの連隊付第3衛生分遣隊も衛生兵が25人と衛生下士官が10人、軍医が5名もいたのに、今では軍医は多分知ってると思うけどカール・フォン・ケルン軍医中尉しかいないし、衛生下士官も戦場昇進した伍長が一名と軍曹が2名と曹長が1名、衛生兵なんて私含めて7名しかいないのよ。
私の尊敬する衛生下士官だったマリーカ・アストン曹長は衛生下士官なのに自分からライフルを持って戦っているような人よ。まったくヘンな話よね・・・」
お互いに、黙ってしまう・・・
そうしたら、ヘルメットのヘッドセットからおやじが
「シュナイダー兵長。
姉貴(レナ准尉)殿が呼んでるぜ。あとリリーもだ。
今から、小隊戦闘指揮所に迎え。」
レナ准尉が呼んでいる・・・しかも、リリーもだ・・・・
何か、特殊任務だろうか?
私は
「いかなきゃ。また生きてたら話そうよ。」
と言って、トマホークとヘルメットを持ち、立ち上がって塹壕を歩き始めた時だった
後ろから、
「生きてたらじゃなくて、必ず生きて、生き残って。
そして、この私とまた話をして。
そんな弱気なのあなたらしくないわ。
だから、もっと強気に生きて、生き残って。」
とさっきまで落ち込んでいたマリーの声とは思えない言葉だった。
「だったら、僕と約束してくれ。僕も必ず生き残る。
だから、君も必ず生き残れ。」
私は、そ
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