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SAO−銀ノ月−
第短編話 U
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……ま、他に人もいないし、大丈夫でしょ」

 里香もどうやら同じことを考えていたらしいが、幸いなことに俺たち以外にプレイヤーの姿はない。曰わくつきというのも、こういう時には役に立つものだ。

「それに現実じゃ絶対やっちゃいけないけど、タオルでも巻いときゃいいしね……よし、たのもー!」

 結局、ここでジッとしている訳にも行かず、リズはメイスを持って更衣室に突撃する。俺も同じように男子更衣室に向かう……ように見せかけておいて、リズが女子更衣室に行くのを見届けると、そこに立ち止まる。

「……行ったか……」

 ――曰わく付きの温泉、選ばれし者しかいけない温泉……呼ばれ方は色々あったが、結局その条件は単純明快だ。アルゴやレコンにも確認を取ったそれは、恐らく間違いないだろう。

 この温泉に入ることの条件は……要するに、女性プレイヤーであること。リーファが入れてレコンが入れなかった理由は、ただのそれだけでしかない。つまり温泉に入れたプレイヤーというのは、無条件に女性プレイヤーであることと……温泉を守護する《死神》を倒した者のみ。

「来たか……」

 草原にゆっくりと新たな人影が現れる。全体的に黒や紫を貴重にした人型のモンスターで、西洋の神話をモチーフとしたこのALOにしては、珍しくメカのようなボディをしている。そして紫色の視線が俺を捉えると、倒すべき敵だと設定するように目が光っていく。

『Break up……』

 マシニクルな《死神》がその音声とともに起動する。その背中からはコウモリのような翼を放ち、右手は蜘蛛のような形状のクローアームに変質していき、左手には蛇のような鞭が装備される。アレが温泉を守らんとする《死神》のフル装備……アレを倒さなければ、俺は温泉へたどり着くことが出来ない。

「ナイスな展開じゃないか……!」

 自らを鼓舞させるようにそう呟くと、日本刀《銀ノ月》の柄をしっかりと握り込む。必ず温泉にたどり着く為に――負けるわけにはいかない、と俺は《死神》へと向かう。

『Execution……』

 もう一度鋭い眼光を見せた《死神》が、その左手に装備された蛇の鞭をもって先制攻撃。俺の足元を狙ってきたその鞭を小さくジャンプして避けると、さらに追撃しようとする鞭を踏みつけて無効化する。そのまま鞭を足場に《死神》へと走っていく……が。

「っ!」

 相手のパワーは予想以上に強く、《死神》が鞭を無理やり振り回したけどにより、踏んでいたはずの鞭から振り下ろされてしまう。しかもそれだけではなく、鞭はまるで蛇のように俺の足に絡みつき、俺を捕縛したまま伸縮して《死神》の元へ手繰り寄せる。

『Tune……』

 そのまま俺の足を鞭で捕縛しながら、《死神》はその右手が変容したクローアームで引
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