第短編話 U
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で近くの椅子に座り込むと、自らのストレージから水筒を取り出し一服する。本来はショウキの家はこの隣ではあるのだが、ショウキ本人もこの武具店の店主も気にはしていないようだ。
「今日も疲れてるわね……」
店番を店員NPCのハルナに任せながら、リズが疲れた様子のショウキへと近づいていく。彼女は噂話でしか知りようがないが、どうやら迷宮区の攻略が手間取っているらしく――フロアボスの待つ部屋が隠されており、この数週間発見できていないらしい。
「まあ、な……ありがたいことに、血盟騎士団の皆さんに使われて」
それに対し攻略組のプレイヤーが取った手段は、迷宮の難易度自体はそれほどでもないことに目を付けた、攻略組以外のプレイヤーも巻き込んだ人海戦術。それには例外なくショウキも巻き込まれており、1日ダンジョンにいることも珍しくなかった。
「キリトなんかはこれを毎日こなしてるのか……」
「そういえば……昼食とかはどうしてるの?」
あまりダンジョンに一日中潜る、という経験がなく疲弊するショウキに対し、リズは素朴な疑問を発していた。いくら仮想世界といえども、食べなければ力も出ないしいずれ倒れる。この世界だろうと文字通り死活問題で、料理スキルがあるほど重要な要素だ。
「それは……町に帰ってレストラン、って訳にもいかないしな。不味いパンが支給されてるよ」
いや、アレは不味いってより味がない、だな――とショウキの言葉は続く。浮遊城の攻略も半分を越えて、最初期からプレイヤーたちの間にも幾分余裕が出来てきたとは言えども、流石にフィールドに出るにあたって料理スキルを習熱するような者はおらず。
……実はショウキは少しばかりスキルを習得してはいるが、前線での遊撃に回され料理に手を加えている余裕などなく。
「ふーん……じゃ、ちょっと待ってなさい!」
最初は、うへぁ、というような何とも言えない表情を返したリズだったが、その後何かを閃いたように店の裏側へ駆けていく。ショウキはそんなリズの後ろ姿を眺めながら、休みつつ少しばかり待たせてもらうと――店の奥から、その何かは現れた。
「…………えっ」
「よい、しょっと!」
リズがNPCのハルナに手伝ってもらいながら、ショウキが待つ机に持ってきたのは――巨大な肉塊。天を衝くような圧倒的生肉の塊だった。
「……何だこれ、リズ」
「ありがとハルナ。いやー……鍛冶屋仲間から貰ったんだけどねー……?」
モンスターの素材の中には、もちろん料理に使える素材も存在する……というか、生肉などは大体その用途にしか使えない。そんな限定的な用途を誇る物体が、机の上に積み上がっていた。少なくとも武器を鍛えるには使えないソレは、リズが鍛冶屋仲間から押し付けられ――貰ったもの
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