暁 〜小説投稿サイト〜
SAO−銀ノ月−
第短編話 U
[14/19]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
で近くの椅子に座り込むと、自らのストレージから水筒を取り出し一服する。本来はショウキの家はこの隣ではあるのだが、ショウキ本人もこの武具店の店主も気にはしていないようだ。

「今日も疲れてるわね……」

 店番を店員NPCのハルナに任せながら、リズが疲れた様子のショウキへと近づいていく。彼女は噂話でしか知りようがないが、どうやら迷宮区の攻略が手間取っているらしく――フロアボスの待つ部屋が隠されており、この数週間発見できていないらしい。

「まあ、な……ありがたいことに、血盟騎士団の皆さんに使われて」

 それに対し攻略組のプレイヤーが取った手段は、迷宮の難易度自体はそれほどでもないことに目を付けた、攻略組以外のプレイヤーも巻き込んだ人海戦術。それには例外なくショウキも巻き込まれており、1日ダンジョンにいることも珍しくなかった。

「キリトなんかはこれを毎日こなしてるのか……」

「そういえば……昼食とかはどうしてるの?」

 あまりダンジョンに一日中潜る、という経験がなく疲弊するショウキに対し、リズは素朴な疑問を発していた。いくら仮想世界といえども、食べなければ力も出ないしいずれ倒れる。この世界だろうと文字通り死活問題で、料理スキルがあるほど重要な要素だ。

「それは……町に帰ってレストラン、って訳にもいかないしな。不味いパンが支給されてるよ」

 いや、アレは不味いってより味がない、だな――とショウキの言葉は続く。浮遊城の攻略も半分を越えて、最初期からプレイヤーたちの間にも幾分余裕が出来てきたとは言えども、流石にフィールドに出るにあたって料理スキルを習熱するような者はおらず。

 ……実はショウキは少しばかりスキルを習得してはいるが、前線での遊撃に回され料理に手を加えている余裕などなく。

「ふーん……じゃ、ちょっと待ってなさい!」

 最初は、うへぁ、というような何とも言えない表情を返したリズだったが、その後何かを閃いたように店の裏側へ駆けていく。ショウキはそんなリズの後ろ姿を眺めながら、休みつつ少しばかり待たせてもらうと――店の奥から、その何かは現れた。

「…………えっ」

「よい、しょっと!」

 リズがNPCのハルナに手伝ってもらいながら、ショウキが待つ机に持ってきたのは――巨大な肉塊。天を衝くような圧倒的生肉の塊だった。

「……何だこれ、リズ」

「ありがとハルナ。いやー……鍛冶屋仲間から貰ったんだけどねー……?」

 モンスターの素材の中には、もちろん料理に使える素材も存在する……というか、生肉などは大体その用途にしか使えない。そんな限定的な用途を誇る物体が、机の上に積み上がっていた。少なくとも武器を鍛えるには使えないソレは、リズが鍛冶屋仲間から押し付けられ――貰ったもの
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ