5部分:第五章
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嬉しいのです」
「嬉しいのですか」
博康にはわからない話だった。しかしそれでも聞くのだった。
「そのことが」
「はい。それで糸谷さん」
少女はその小さな声を彼にかけ続けてきた。
「白百合を。好きでいて下さいね」
「白百合をですか」
「この夏が終わってもずっと」
少女は言う。
「好きでいて下さい。花の中で一番」
「このままですか」
「それが私の御願いです」
これまた博康にはわからない願いだった。しかしそれでも彼は聞くのだった。
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