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花姫
4部分:第四章
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らある。この時代でもあった。彼はそれを請け負ったというのである。
「それで。まとまったお金が入りまして」
「それでですか」
「はい。どうかお受け取り下さい」
 こう言って再度少女に差し出す。
「この指輪。どうか」
「お受けしてもいいのですね?」
 少女は謙遜する顔で彼に問うてきた。じっとその顔を見ながら。
「私がこの指輪を」
「どうぞ」
 また微笑んで彼女に告げる博康だった。
「貴女の為に買ったのですから」
「そうだったのですか。それでも」
「はい?」
「随分。頑張られたのですね」
 彼の顔を見ての言葉であった。
「とても」
「いえ、別に」
「わかります」
 しかし少女はこう言って博康の今の言葉を否定するのだった。
「お顔に出ていますから」
「顔に」
 奇しくも店の親父と同じ言葉だった。しかし今度はその意味合いが違っていた。それは彼にもわかった。
「はい。疲れ切って」
「それは」
「代筆のお仕事でしたね」
 その彼が語った仕事である。
「それがどれだけのお金になるのかわかりませんが」
「そんなには」
「あまり。無理は為されないで下さい」
 気遣う声だった。

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