もう一つの運命編
第7話 光、再び、実りて
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は今日まで本っ当によく頑張った。えらかったな、光実』
『――――あ』
シャロームはゆっくりと、両手を広げたまま龍玄に歩み寄った。
『っ、来るな!』
龍玄がブドウ龍砲を撃った。シャロームは、避けなかった。
崩れかけた姿勢を意地だけで支え、痛みに震えそうになる声を根性だけで堪えた。
(づ…っでぇなあチクショウ。さすがにこのロックシードでも痛み全消しは無理か。でも、まだ)
――防御力の強化。それがジンバーメロンの特性。
単純に強化といえど、その効果は大変に有用だ。
本来なら食らえば倒れる攻撃に倒れない。
本来なら手の届かない場所まで進んでも崩れない。
そういう意味では、どのジンバーアームズよりも使い勝手がいい。
『光実は強い子だな。うん。えらいぞ』
『来るなって言ってるだろ!!』
龍玄は再びブドウ龍砲を連射した。撃たなければ、否定しなければ己が崩れる。そんな想いを声から感じる。
感じるから、分かるから、シャロームは止まらなかった。
そして至近距離に入るや、シャロームは龍玄を強く抱き締めた。
『今日までよく頑張ったな。もう、いいんだよ。お前はもう充分よくやったんだから』
がしゃん、と。
龍玄の手をすり抜けて、ブドウ龍砲が落ちた。
『……裕、也、さん』
シャロームは片手を静かに龍玄のロックシードに伸ばし、それを外した。そして、自分自身のロックシードもバックルから外し、三つともを地面に落とした。
二人の変身が解ける。
ここにいるのは、ただの角居裕也と、ただの呉島光実だ。
「あなた、が、僕の兄さんだったら、よかった、のに」
光実はきつくきつく裕也にしがみつき、泣いた。号泣だった。
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