もう一つの運命編
第7話 光、再び、実りて
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だ。
ライドウェアが裂けてもおかしくない切れ味の武器を見舞われて、シャロームは何のダメージも受けていないかのように健在だ。
ぶわ、と鳥肌が立った。
(こうなったら、紘汰さんにやったみたいに、隠れて狙撃するしかない)
すぐさまキウイの錠前を外し、ブドウの錠前をセットしてブドウアームズに換装した。
目晦ましのためにシャロームの足下にブドウ龍砲を連射し、龍玄は走って物陰に隠れた。
『――覚えてるか? お前が初めてうちのチームに来た時のこと』
説得――交渉か。
『学校とは反対方向の俺たちのステージを毎日観に来てくれたよな。だから舞が声をかけて、お前はチームに入るのを最初ためらったけど、結局は受け入れてくれて。舞以外のチームメイトとも上手くやれて。でも一つ引っかかってたことがある』
シャロームが歩いてくる。
――龍玄が隠れた場所をシャロームが通り越し、背中を見せた瞬間に、撃つ。
『お前が俺たちを見る目が、時々俺たちを通り越してるような気がしてた。それが何でか、貴虎さんに会って、ようやく分かったよ』
シャロームの語り口はあくまで穏やかだ。
『お前はいつも貴虎さんを探してたんだな。俺を通して。紘汰がチームに入ってからは、紘汰を通して』
『違う!! 知ったふうな口利くな!!』
自分で組み上げた段取りより早く、龍玄は飛び出し、シャロームの背ににブドウ龍砲を連射した。
『知ったふうも何も』
対するシャロームはいとも容易くバク転で避け、創世弓を構え直し、龍玄に向ける。
『知ってるよ。お前のことなら。俺はリーダーだから。お前が本当はたくさんの人を心配してる優しい奴だってのも、チーム一、頭がキレるのも。あと、紘汰と舞を大好きなのも。ずっと見てきたからな』
ずっと見ていた。
その言葉は呉島光実がずっと欲しがって足掻いてきたものだった。
トリガーにかけた指から力が抜けてしまったほどに。
この人はずっと見ていてくれた。呉島光実のホントウを。
(この人がいなくなったら、一体誰が分かってくれるんだろう。貴虎兄さんも紘汰さんも分からなかった、『本当の僕』を。この人を消してしまったら、『僕』はどこにもいなくなるんじゃ)
シャロームは紫の銃撃を避けながらも、冷静に光実の心の移ろいを読んでいた。
(よし、効いてる)
光実を陥落させるために美辞麗句を連ねているのではなく、リーダーとして、兄貴分の一人として、思ったままを心から言っているのだが。
(次がトドメの一撃。……すんません、貴虎さん。本当はあんたが言うべき言葉を、ちょっとだけ借りる)
シャロームは創世弓を放り捨て、両手を広げた。
『お前
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