暁 〜小説投稿サイト〜
ロード・オブ・白御前
もう一つの運命編
第7話 光、再び、実りて
[2/3]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
だ。

 ライドウェアが裂けてもおかしくない切れ味の武器を見舞われて、シャロームは何のダメージも受けていないかのように健在だ。

 ぶわ、と鳥肌が立った。

(こうなったら、紘汰さんにやったみたいに、隠れて狙撃するしかない)

 すぐさまキウイの錠前を外し、ブドウの錠前をセットしてブドウアームズに換装した。

 目晦ましのためにシャロームの足下にブドウ龍砲を連射し、龍玄は走って物陰に隠れた。

『――覚えてるか? お前が初めてうちのチームに来た時のこと』

 説得――交渉か。

『学校とは反対方向の俺たちのステージを毎日観に来てくれたよな。だから舞が声をかけて、お前はチームに入るのを最初ためらったけど、結局は受け入れてくれて。舞以外のチームメイトとも上手くやれて。でも一つ引っかかってたことがある』

 シャロームが歩いてくる。
 ――龍玄が隠れた場所をシャロームが通り越し、背中を見せた瞬間に、撃つ。

『お前が俺たちを見る目が、時々俺たちを通り越してるような気がしてた。それが何でか、貴虎さんに会って、ようやく分かったよ』

 シャロームの語り口はあくまで穏やかだ。

『お前はいつも貴虎さんを探してたんだな。俺を通して。紘汰がチームに入ってからは、紘汰を通して』
『違う!! 知ったふうな口利くな!!』

 自分で組み上げた段取りより早く、龍玄は飛び出し、シャロームの背ににブドウ龍砲を連射した。

『知ったふうも何も』

 対するシャロームはいとも容易くバク転で避け、創世弓を構え直し、龍玄に向ける。

『知ってるよ。お前のことなら。俺はリーダーだから。お前が本当はたくさんの人を心配してる優しい奴だってのも、チーム一、頭がキレるのも。あと、紘汰と舞を大好きなのも。ずっと見てきたからな』

 ずっと見ていた。
 その言葉は呉島光実がずっと欲しがって足掻いてきたものだった。
 トリガーにかけた指から力が抜けてしまったほどに。

 この人はずっと見ていてくれた。呉島光実のホントウを。

(この人がいなくなったら、一体誰が分かってくれるんだろう。貴虎兄さんも紘汰さんも分からなかった、『本当の僕』を。この人を消してしまったら、『僕』はどこにもいなくなるんじゃ)






 シャロームは紫の銃撃を避けながらも、冷静に光実の心の移ろいを読んでいた。

(よし、効いてる)

 光実を陥落させるために美辞麗句を連ねているのではなく、リーダーとして、兄貴分の一人として、思ったままを心から言っているのだが。

(次がトドメの一撃。……すんません、貴虎さん。本当はあんたが言うべき言葉を、ちょっとだけ借りる)

 シャロームは創世弓を放り捨て、両手を広げた。


『お前
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ