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ミョッルニル
8部分:第八章
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第八章

「ならば極端まで恐れることはない」
「この数なら」
「果たしてそうか」
 その彼等に対してトールは言ってみせたのだった。
「貴様等は言ったな」
「!?何をだ」
「俺は確かにミョッルニルも力帯も持って来てはいない」
「それはわかっている」
「そもそもそれが狙いなのだからな」
 巨人達の笑みが誇らしげなものになったのだった。
「それならば我等とて」
「ここで神々の中で最強である貴様を倒せば」
「俺は持ってはいない」
 ここではいささか言葉遊びになっていた。
「!?何が言いたい」
「貴様が持っていないのはわかっているのだが」
「だからだ」
 彼はさらに言う。
「この者は違うぞ」
「ロキか?いや、違うな」
「そこの小僧は」
 シャールヴィが誇らしげに笑っていた。それは彼等からもわかった。
「トール様、今!」
「よし!」
 その小僧が叫んだ。そして取り出したのは。
 ミョッルニルと力帯だった。その二つを天高く放り投げる。するとトールはそれを右手を高々と掲げて受け取った。後はもう彼の思うがままだった。
 帯を締めてミョッルニルを握り締めた。そしてそのミョッルニルを縦横無尽に振るい巨人達を薙ぎ倒していく。僅か数刻の間に巨人達の戦士は一人残らず倒され館は先程のゲイルレズを焼いた炎により燃え上がってしまった。トール達三人はその燃え上がる有様を離れた場所から見ていた。
「終わったな」
「うむ」
 トールはロキの言葉に頷いていた。無論シャールヴィも一緒である。
「終わってみれば呆気無かったな」
「確かにな。しかしだ」 
 だがここでロキは言うのだった。
「また随分と命の危険を伴う旅だったな」
「待て、ロキ」
「!?」
 トールは今のロキの言葉に突っ込みを入れてきた。
「そもそもはだ。御前が原因ではないか」
「わしがか」
「そうであろう。御前があの巨人に捕まり俺が招かれたのではないか」
「如何にも」
 ロキは平然とした態度でそれを認めた。
「わしが捕まったせいだ」
「元はといえば貴様のせいではないか」 
 そのロキを咎める顔と声になっていた。目には怒りの雷が宿っている。
「それをどうして。そうまで平然と」
「それはそれ、これはこれだ」
 だがそれでもロキの態度は変わらないのだった。ふてぶてしさがそこには満ちていた。
「確かにわしはこの話の元凶だ」
「わかっているではないか」
「しかしだ。結果はどうだ?」
 彼は結果という言葉を出してみせた。
「結果は。それはどうなのだ」
「俺はあのゲイルレズを倒した」
 トールもまたその結果を認めた。
「そして多くの巨人族を倒した」
「素晴らしい冒険でしたね」
 シャールヴィも言ってきた。彼は笑顔だった。
「終わってみ
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