8部分:第八章
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ると」
「確かにな。それはな」
トールは今度はシャールヴィのその言葉に対して頷いたのだった。
「終わってみると実に楽しい」
「それだ。結果が全てだ」
ロキはここぞとばかりに勝ち誇ってトールに対して告げた。
「結果がな。だからだ」
「それでよしというのだな」
「如何にも」
また勝ち誇った笑みをトールに見せた。
「少なくとも御前の勇名をさらに上げることになったぞ」
「それもそうか」
「そういうことだ。だからいいではないか」
あくまでこう言うロキであった。
「それでな」
「全く。御前はいつもいつも」
ロキのこのお調子者ぶりと口の上手さについてはトールもよく知っていた。何しろその一番の被害者は彼であるからこれも当然のことであった。
「どうしてそうなのだ」
「わしはわしだ」
またしても居直りの言葉だった。
「それ以外の何者でもないぞ」
「まだ言うか。まあいい」
「いいのだな」
「言っても無駄だ」
これは諦めだった。もうロキには何を言っても変わらない男であるということもトールはよくわかっていたのだ。もっともわかっていて付き合っているのだが。
「御前にはな」
「そういうことか」
「帰るぞ」
これ以上の話は無駄と悟ってロキに告げた。
「それでいいな」
「うむ。これ以上ここにいても何の意味もない」
ロキも今度はトールの言葉に素直に頷いてみせた。
「帰るとしよう」
「シャールヴィ」
今度は己の従者に声をかけた。
「御前もそれでいいな」
「僕はそれで」
彼には異論はなかった。
「トール様がそう言われるのなら」
「そうか。ならばだ」
彼の言葉も聞いたうえでその右手にあるミョッルニルを高々と掲げたのだった。
「最後に。これを撃って帰るぞ」
ミョッルニルを振り下ろすと雷が落ちた。それは燃え上がるゲイルレズの館に落ちそれを粉々に砕いてしまった。トール達はその光景を見届けると踵を返しその場を後にした。後には砕け散り燃え上がる館があるだけだった。それは静かに燃え尽き廃墟となり後には何も残さなかった。
ミョッルニル 完
2008・8・8
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