暁 〜小説投稿サイト〜
フェイト・イミテーション ~異世界に集う英雄たち〜
ゼロの使い魔編
第二章 天空の大陸 アルビオン
いざ、アルビオンへ
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 白い仮面の男は不意打ちに失敗したのを残念そうにため息を吐くとヴァロナに答えた。

「やはり君に不意をつくのは無理だったね、『暗殺者』君。」
「・・・!」

 まるで分かっているようにその名で呼んできた。ヴァロナは驚いた顔をしたが、やがて事態を理解したのか、面倒くさそうに頭をガリガリと掻いた。

「やれやれ、そういうことか。こりゃアイツら、こっから大変だな。」
「ふふ、それでどうするのかね?船はもう出てしまったけど。」

 男の挑発のような言葉は意に介さず、ヴァロナは答える。

「どうするもなにもねえだろ。俺は障害を排除するよう言われただけだ。最後まで面倒見るつもりはねえよ。」
「・・・そうか、ならばもうお前と話すことはない。」

 そう言って去ろうとする男をヴァロナは「まあ待てよ。」と呼び止めた。

「ついでに教えてくれねえか。お前の背後にいるのは何者だ?」
「ふっ、それこそお前に教える必要はない。もうしばらくそいつらと遊んでいるがいい。」

 そう言って男は振り向いた。だが・・・、




「そうか・・・・・ならお前はもういいや。」




「なっ・・・!?」

 男の背中にナイフが突き刺さった。「そうか」の声は遠く感じたが、「なら」からは耳元で聞こえた。あの一瞬でこれだけの距離を詰めたというのか・・・!?
 と、暫く硬直していた男はやがて煙のように掻き消えていった。

「んだこれ?分身かよ。また面倒な・・・」
「くそお、死ねええええ!!」
「ちっ、うるせえ『風刃縛封』。」
「ギャアアアア!!」

 ヴァロナがそちらに手を向けると、なお挑んでくる傭兵は風の刃で縛られ切り裂かれた。

「喧しい声出すんじゃねえよ。こっちは手加減してんだ、服が破れてるだけだろ。それとも・・・」

 ヴァロナの言う通り、男は服こそビリビリになっているものの、体には傷一つ付いていない。
 だが、続く言葉に、周囲の気温が急降下する感覚に襲われた。



「いらねえのかよ、手加減。」

 ヴァロナの殺気が一気に高まり、傭兵たちは圧倒される。
 と、その時だった。

ズズズズズズズズ

「な、何だこの音!?」
「おい!見ろ!」

 一人の傭兵が指さした方を見やると身長が三十メイルにもなるゴーレムが姿を現していた。ゴーレムはズシンズシンとこちらに歩み寄ってくる。

「うあああああっ!敵の増援だあああああ!!」
「くそっ、こんなの割に合わねえ!俺は降りるぜ!!」
「た、助けてええええええええ!!!」

 ゴーレムを敵と認識した傭兵たちは散り散りなって逃げていった。
 ヴァロナはそんな中呆然となってゴーレムを見ている。あれには心当たりがあったからだ。

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