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ミョッルニル
2部分:第二章
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。ロキの言葉に対して。
「それではシャールヴィも連れて行く。三人で乗り込むぞ」
「うむ」
「しかしだ」
 話が決まったところでまた言うトールだった。
「ロキ、御前はまた」
「何だ?」
「何か俺に対して色々と世話を焼いてくれるようだな」
 トールが言うのはそこであった。またいぶかしむ顔になっている。その顔で今自分の目の前にいるロキに対して語るのである。
「またどうしてだ。御前はオーディンと義兄弟だというのに」
「気紛れだ」
 ロキは口の左端を歪めて笑ってみせて述べた。
「気紛れか」
「そうだ。全ては気紛れだ」
 口を歪めさせたまま言葉を続ける。
「わしのな。ただそれだけだ」
「それで俺の力になるのか」
「少なくとも御前は一緒にいて面白い」
 ロキはこうも言うのだった。
「悪意がないからな。だからだ」
「ふん、少なくともオーディンとは違うぞ」
「オーディンはオーディンで面白い奴だ」
 これはさりげなくか計算か。少なくともここでオーディンを庇っているのは事実だった。今度は己の口の右端を歪めさせての言葉である。
「御前とは違った意味でな」
「だからあいつも助けるのか」
「そういうことだ。では行くぞ」
「うむ、ゲイルレズのもとにな」
 こうして二人はシャールヴィを連れて巨人の国に入ることになった。シャールヴィは小柄ながら俊敏で利発な顔立ちをした少年である。目は水色で髪は奇麗な蜂蜜色だ。トールの従者であり彼の信頼する側近でもある。その彼もまたこの旅に加わったのであった。

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