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ミョッルニル
1部分:第一章
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し客として招くのだな」
「一応はそう言っていたぞ」
 ロキは述べた。
「あんたを恐れているな。しかしトールよ」
「何だ?」
「あんたは絶対にその申し出を受けるな」
 このことをトールに対して確認するのだった。
「あんたの性格ならな」
「そうだな。それはな」
 トールはこのことを否定しなかった。憮然としてであるがはっきりと頷いてみせたのだった。
「そのつもりだ。招きに応じるのが俺の性分だ」
「そうだよな。ましてや武器なしでも巨人の国に入ることができるな」
「俺を愚弄するのか?」
 馬鹿だのそう言われることは平気だが勇気がないといった類の言葉には反発を覚えるトールだった。今のロキの言葉にはカチンときたのだった。
「そんなことはない」
「では行くな」
「絶対に行く。ミョッルニルと力帯をなしでな」
「本当にいいんだな、それで」
「俺はオーディンとは違う」
 はっきりとオーディンの名前を出した。なお彼の妹のフリッグはオーディンの正妻だ。
「約束は絶対に守る。あんな男とは違う」
「よし、じゃあ話は決まりだな」
 ロキはトールの話をここまで聞いて楽しそうに笑って述べた。

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